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dai さんの日記

[2020-11] 
 
2020
11月 18
(水)
16:51
トップの本棚〜「はじき」「くもわ」の何がいけないのか。
本文



多くの子どもは、速さや割合について、素朴な感覚を持っているものである。

たとえば、50メートルを9秒で走る子と8秒で走る子はどちらが速いかわからない子はいないし、「倍」とか「半分」とかいう感覚がわからない小学生もほとんどいないだろう。

その素朴な感覚を育てることを放棄して、「意味など考えなくてよいからとにかく公式に当てはめて正しい答えを書きなさい。」とすると、子どもは考えることをやめてしまう。つまり、アホになるのである。

ある程度算数ができると見える子に、道理を教える前に「はじき」に当てはめることだけ教え込む。一見「はじき」は簡単なので、その子は「速さなんて簡単だ」と思ってしまうだろう(ほんとうは、ある程度賢い子どもは「はじき」など知らなくても「速さ」の概念自体はそんなに難しいことではないはずだ)。たしかにカラーテストは余裕の100点。

しかしそんな子の末路は悲惨なものになるだろう。その子に中学受験をさせたとして、仕事算、旅人算などの応用問題は言うに及ばず、問題文の表現をちょっと変えただけの普通の速さの問題ですら、全くできなくてかわいそうな目に合わせることになるだろう。中学受験をしなかったとしても、中学に上がってから特に理科でいろいろな単位当たり的な概念(密度、電気抵抗、圧力など)がでてきて、そのたびにテントウムシ(注1)を作って教えてやらないと全く問題が解けない、ということになってしまうのである。


いけない。つい熱くなってしまった(なんか見た)。
気を取り直して、次の本をどうぞ、( ^-^)_旦~

『中学の知識でオイラーの公式がわかる』 鈴木貫太郎 光文社新書




二次方程式が解けること、ピタゴラスの定理を知っていることをもって、「中学の知識で」といってよいだろう。本書を読破するための最低限の知識はこれくらい。

そこからスタートして、最終的にeのiπ乗が-1になるというオイラーの公式の理解を目指す。途中に必要な三角比(sin,cos)や対数(log)、自然対数の底eの定義など、必要な数式の理解のための解説動画(You Tube)も備えられている。

類書(というかこのテーマの本としてはずっと先発だが)トップの本棚には、『オイラーの贈り物』(吉田武 ちくま学芸文庫)も置いてある。ただしよほどの数強でない限り、中学生にとって『オイラーの贈り物』はちょっと荷が重かろう。それに比べると、本書はずいぶんとっつきやすくなっている。なお、数学ガ−…(注2)

入試が早く終わった(特色、私立専願など)中3生におすすめしたい。

貫太郎先生が不定期に出して来られる整数問題の動画(大学入試問題がメイン)もおすすめ。(注3)



さて、授業の時間だ。

今回は、ある図形の性質についての授業を一部公開しよう。


11月実施の滋賀Vもしの数学で、とある有名問題が出題されていた。「平行四辺形 難角問題」で検索するとすぐに見つかる問題である。
↓               ↓


ノーヒントだときついけれど、模試の問題には誘導がついているので、正解までたどり着けた人は数パーセント程度いそう。(注4に答えを書きました)




同じ発想は次のような問題にも適用できるだろう。(算数星人さんの難関中学受験生向けの「図形ドリル」から)
↓              ↓

(注5に答えのみ書きました)

あるいはこれ。(古典というべき某図形問題集(大きな書店なら売っている 注6)から)
↓              ↓


(注7に答えのみ書きました)

以上に共通する発想は、長方形を対角線で切ることによって理解できるだろう。
↓              ↓


(本の内容は本題とあまり関係ありません)

この構図(アイデア)は持っておくとええよ。
「図形問題で困ったら二等辺三角形を探せ」は折に触れて授業でお話ししていることやね。

本日は以上!!


注1:「しみた」「電電電」(ネタですよ)「ちあめ」(?)。テントウムシを書いて丸暗記するらしい。究極は「モルグリコ」(気になる方は、検索けんさくぅ〜)。

注2:「数学ガール」に言及しようと思ったが、オイラーの公式は扱われていなかったね。「数学ガール」はフェルマーの最終定理が秀逸。サイモンシンのドキュメンタリ(新潮文庫、こちらもトップのGH校本棚にある)だけではきついけど、2冊を続けて読めば楽しい。

注3:これを書いていた当日の朝に「11^3+397 を素因数分解しろ」という問題が流れてきた。面白かったけれど(2日で2万回以上再生されている!)、三乗の展開や式の除法と余りを考えてごらん、という趣旨だろうから、一般の公立中学生にはちょっと…(中高一貫校の中3生なら興味深く見れそう)

注4:105度。AからBCに垂線をおろし、その足をEとしよう。
   すると、AO=CO=EO、∠CAE=60度
さらにBE=AEが見えるね。

注5:72度

注6:「高校への数学 目で解く幾何 直線図形編」東京出版

注7:40度
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