�g�b�v�i�w�[�~

トップの本棚―京都を極める





遥か昔の18歳の自分とシンクロする情景が次から次へと現れる。甘酸っぱい感情が現れてはページをめくる手が止まり、ほろ苦い黒歴史を思い出してはページをめくる手が止まり、読了までには少々時間を要した。


『成瀬は都を駆け抜ける』　　宮島未奈　　新潮社　　　　


初体験は18歳の春、出町柳駅近くの賀茂大橋の下であった。

新学期が始まってすぐクラスメイト達と仲良くなった私は、そこで闇鍋パーティーをした。食べ終わった後もなんでもない話をたくさんして、終電を逃し家に帰れなくなった自宅通学生の一部は、河原町今出川のミスドで始電までおしゃべりしていた。生まれて初めて、朝まで起きていたのだ。

あ、この話は森見登美彦の本を紹介するときに書くべきだったか。


作中、森見登美彦の代表作『夜は短し歩けよ乙女』にちなんだ「達磨研究会」なるサークルが出てきて、物語のキーワードとなる。京大には得体の知れない団体が多数存在するが、彼らもその一つである。達磨研究会会長の言動は、とあるR南高校出身（伏字になってない）のクラスメイトを彷彿とさせる。何がともあれ成瀬たちは彼らと仲良くなる。

黒髪の乙女が持っている「達磨」の左目は三日月になっており、口はリンゴのへたになっている。


成瀬は北野天満宮で簿記系YouTuberぼきののかと出会う。

「厨二病っぽいのが一周回ってかっこいいと思って付けた設定だけど、厨二病はネットの中でのみ許されるものであって、現実世界ではただのイタい人である。」
「燃えたチャンネルは灰になり、決してもとの形には戻らないのだ。」

地の文での宮島さんのツッコミがいちいち面白い。


びわテレの滋賀ローカル番組「ぐるりんワイド」(注1)の取材を受けたあかり、放送を見た父慶彦が号泣しているのを見て（正確には読んで、か）、思わずもらい泣き。電車の中で読んだらあかんやつ。


そんな調子で、読んでいる最中全編で感情が溢れ出て止まらかった。手話で、まちがえた手放しでおすすめしたい！(作中にでてくるぼきののかに「てえてえ」(注2）ってからかわれていた西浦君かわいい、そしてちょっと羨ましい)



それでは、授業の時間だ


以下は、高校クラスで最近扱った問題である。3乗の対称式の値などを応用する問題である。

問い：x²-5ｘ+7=0のとき、(x-2)の90乗と(3-x）の90乗との和を求めよ。
（右肩に指数で「90」を表記しようとすると文字化けしたのでこのような表記にしました。読みにくいのはご容赦ください）

ためしに冒頭の2次方程式を解いてもらったらお判りいただけると思うが、本問はもちろん高校受験を控える中学生に解かせる問題ではない（虚数解になる）。高校の数学Ⅱで習う考え方を使えば、何とかできるだろう、という問題であx-2=p、3-x＝qとでも置いて考えれば、何か見えるかもしれない。

なお、複素数平面をやっていると、冒頭の2次方程式を解いた時点で「あっ、察し」となるかもしれない。いや普通は気付かへんやろ。それが見えるんなら相当の手練れやし、もはや私が教えることは何もない。


６Z理科では、酸とアルカリについて学び、ようやく「水溶液当てまSHOW」を共有できた。9種類の水溶液を同定するべく、仮説と検証をするのである。

映像に登場した化学の先生は、水酸化ナトリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液を舐めて(!!)同定していたが、テロップに出ていた通り「よい子は絶対にマネしないでください」(
悪い子もね）である。(注3)

（子どもに大人気の、見た目は少年中身は大人な漫画に、「ペロっ、こ、これは！！」というのがあるが、たとえ厨二病に罹患していても、絶対に踏み越えてはいけない一線である。）

受講している小学生は私の教育が行き届いているので、水酸化ナトリウムを舐めたらどうなるか、容易に想像できるはずだ。

PH試験紙を見て「リトマス紙の上位互換だ」と感想を述べた子がいて、「かしこい小学生、かしこい」と思った。将来が楽しみである。



それでは今日は、このへんで。





注1：フィクションなので架空の番組だが、BBCは実在するローカルテレビ局だ。私はめったにテレビを見ないので、「野洲のおっさん」とか、うっすらとしかわからない。（♪先に寝ないで　さみしいじゃないの　お前だけが頼りなんだよ　ああテレビジョン～）なぜか全部歌えるけど。

注2：「てえてえ」とは「尊い」という意味である。

注3：動画内で、クラレ先生は塩酸と混ぜて中和したうえでペロッ 、これは？ってやっている。それでも良い子は真似しちゃダメ、ゼッタイ。