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TOP  >  TOPブログ  >  dai  >  つれづれ  >  トップの本棚―漢字の書き順と成り立ち

dai さんの日記

 
2025
8月 29
(金)
21:03
トップの本棚―漢字の書き順と成り立ち
本文



私は漢字の書き順をほとんど気にしない人である。たまに小中学生に国語を教える立場としてはいかがなものか、と思われる御仁もいらっしゃるだろうが、字画が合っていてちゃんと読めればそれでよいのである。

公立高校の入試で書き順が問われることはほぼ(注1)ない。田舎の方の県では行書と楷書の違いを見せて画数などを問う問題はちらほらみられるけども(注2)。


そんな風に考えていたが、最近書き順について興味深い論考(動画)を見かけた。

「右」と「左」で書き順が違う合理的理由についての論考である。


「右」は左払いからから書いて、のちに横棒を書く。払いは短く、3画目の「口」の左縦棒はほぼ真ん中に。これで見た目美しい「右」が完成する。

「右」同様左払いが先の字に「有」、「布」などがある。いずれも3画目が縦棒である。
「縦、横、縦」の順が書きやすい、ということか。

いっぽう、「左」同様、先に横棒を書くのは「友」、「存」、「在」などである。

なるほど「横、縦、横」と交互に書くと書きやすい。

あれっ、「存」、「在」の3画目は縦棒だが?

いやいや、囲いの中、つまり4画目が横が先だと考えれば納得はできる。


ところで、「左」、「右」の書き順はそもそもの字の成り立ちから来ているという説がある。

「左」は左手に呪物の「工」が合わさった会意文字で、「右」は右手に祝詞を入れる「口」を合わせた会意文字だとする。
手を表す部分は象形文字から来ていて、指を先に書いて、そのあと腕を書くことから、「左」は指先が横、腕が左後方から伸びていて、「右」は「払い」の部分が指先を表し右後方から伸びているのである。

成り立ちを知ってしまうとなるほど、正しいとされている書き順で書きたくなるなあ。


漢字の成り立ちについて考えると、部首についても興味が湧いてくるだろう。

「右」、「左」、「友」の部首はそれぞれ何であろうか。

「右」の部首は「口」、つまり祝詞(が書かれた紙を入れた入れ物)である。部首が「口」の漢字としては、「古」、「台」、「吊」、「叶」、「合」など、いろいろある。

ちなみに「四」の部首は「囗」(くにがまえ)である。

「左」の部首は「工」(たくみ)。「工」を用いる漢字としては「差」、「巧」、「巫」くらいか。意外なところでは「巨」も部首は「工」である(漢和辞典調べ)。

「友」はどうか。「友」は右から伸びてきた二本の手であり手と手を取り合っている様子を表している字であるが、「友」の部首は「又」である。「又」を部首に持つ漢字に「反」、「収」、「双」、「取」、「受」、「叙」などが挙げられよう。

「右」「左」「友」はいずれも手を表す1、2画目が部首ではないところが面白い。


興味がわいてきたので、憂鬱の「欝」の部首を調べてみた。

欝の部首は「鬯」(ちょう・においざけ)だそうである。こんなんわかるか~。


上記のようなトリビアは高校入試で出題されることはほぼないはずである。

そう思っていたら沖縄県で「皆」の部首が問われた(ただし、知らなくても正解を選ぶことができる)。

「時」の部首と同じ画数の部首を持つ字は次のうちどれか、ひとつ選べ。

1 「隠」  2 「桜」  3 「後」  4 「皆」


もちろん受験勉強としてはスルーでOKだが、気になる向きのために述べておくと、「皆」の部首は
「白」である。

「白」が部首の漢字としては、「的」、「皇」、「皐」(これらはまあ納得)のほかに、「百」がある(!)。これもなかなか面白い。


それでは今日は、このへんで。





注1:2025年受験用の電話帳では奈良県立高校の問題に、「夕空が紅に染まる」と行書で書いてあり、「楷書で書いた場合書き順が異なる字は使われた4つの漢字のうちどれか」という問題が出された。

注2:京都は田舎ではなく日本の都です(首都とは言っていない)。ほんの150年前から首都機能を東京に一時移転させているだけなんです。






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