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dai さんの日記

 
2025
8月 22
(金)
20:56
トップの本棚―夏の逃避行
本文



夏休みなので、どうせ読むなら「真夏の大冒険」的なジュブナイルを読みたい。
そう思っているのに選ぶ本は「真夏の欝展開」なものが多い気がする。

そう、岡崎琢磨『夏を取り戻す』(創元推理文庫)みたいなジュブナイル(注1)を読みたいのに、道尾秀介『向日葵の咲かない夏』(新潮文庫)のような、真実に気づいて戦慄(注2)、みたいなお話を手に取ってしまうのである。


そういえば昨夏は、カンザキイオリ『あの夏が飽和する』(河出文庫)を読んだ。中学生の時に彼女を目の前で失った男が、成人して当時の彼女にそっくりな少女と出会う話である。最後まで悲劇的であり、読むのがつらい。

そしてこの夏はこれを読んでいる。


『青空と逃げる』 辻村深月 中公文庫


レーベルで(悲しいお話なんじゃないかと)気づけよ、という気もするし、いやいやレーベルで先入観を持つのは偏見やろ(ハッピーエンドかもしれない)、という気持ちもある。
また、守山市立図書館にはわざわざ(一般図書の小説のところではなく)YA(ヤングアダルト)のところに置いてある。司書さんの見解としてはこの物語を13~18歳に読んでほしい、ということなのだろう。

レーベルということで言えば、少年少女の心情の解像度が高い辻村作品の数々において、『あの夏の星を見る』(KADOKAWA)とか、『鏡の孤城』(ポプラ社)』とはまた違う展開になりそうだ、という先入観があるし、中公文庫から出ている辻村さんの作品ってほかに思い当たらないしな。辻村さんっていわゆる「いやミス」に寄せてくる作品だってあるし…


物語は、夏の四万十川から始まる。川のそばのドライブインで働く母の早苗と、その一人息子で小学5年の力。母子は何者かからの悪意と追及から逃れるように全国を転々とする。

第2章では追手に気づいた母子は四万十川から瀬戸内に浮かぶ家島へ。力はそこで地元の中学校に通う綺麗なお姉さんの優芽と出会う。おお、ジュブナイルな展開やん。ボーイミーツガールやん。こういうのが読みたかったのよ。

と思っていたら章末で早苗の、東京の自宅から逃げる直前の回想シーンが始まる。押し入れから息子がお気に入りで使っていたタオルケットにくるまれた血の付いた包丁を見つけてしまった。ひょっとして、力が父親を刺した?行方不明の父はいまどこに?と物語はがぜんキナ臭い展開に。

母子の逃避行はこのあと別府、仙台と進んでゆくが、はたして親子の運命は?そして、父親の消息はいかに?


もとより具体的なネタバレをするつもりはないが、『家族シアター』に近い読後感。うっかり電車の中で読んだらあかんやつ。読んでよかった。


それでは授業の時間だ。


盆休み明け最初の6Z算数では「速さ」をやった。1人の子が何かの問題で「秒速4000メートル」などと口にしたから、すかさず「音速の10倍超えてるやん」と突っ込んだ。

授業はそこからしばし脱線。
「音が空気中を伝わる速さ(気温によって多少異なる)」、
「飛行機が音速を超えたらパイロットはどうなるか、航空ショーなどで音速を超えた飛行機を見たらどうなるか」、
「救急車が近づくときはサイレンが高い音になり、追い越すと一転低い音になるのはなぜか」、からの
「そもそも音の高さはどうやって決まるか」、
「440㎐と442㎐と445㎐の違いを聞き分けられるか」、
なんて話題になった。

また、「平均の速さ」について触れ、つぎのような問題も考えてみた。

“A car goes 15 mph for 1 mile. How fast must it go in the next mile to average 30 mph for the entire 2-mile trip?”
(MindYourDecision “A Simpe Riddle That Nearly Fooled Albert Einstein!”)

あ、もちろん白板に図を書いてね。mileは㎞に、mphは㎞/hに読み替えてやってもらった。答えはもちろん45mphやないよ。
なおこの問題は、1学期に中1数学の授業内でも紹介している。「私の算数・数学初めましてさん」ばっかりのクラスだったので。


確認テストは「平均算」を中心に出題。まあ、特殊算にいちいち名前を付けてパターン暗記する講座ではないので、あくまでも「単位当たりの量」の一環である。次のような問題でちょっぴり苦戦していた。

「男子20人、女子16人のあるクラスで、男子の平均体重は女子の平均体重より2.7㎏重く、クラス全体の平均体重は30.0㎏だった。このクラスの男子の平均体重を求めなさい。」

中学生だったら方程式でやるかな。今の中1に再来週の確認テストでそっくりおんなじ問題を出してもいいかな(さすがに設定は変える)。

なお、上記は難関私立中学受験をする小学5年生向けの問題である。クラスのみんなは、面積図などを駆使して、何とかこなしていた模様。

次回は「旅人算」など、少し込み入った「速さ」に関する問題を。2学期は「割合」から始めることにしよう。分数を上手に使えるようになることが目標である。


それでは今日は、このへんで。





注1:小学生の奇妙な失踪事件を追う雑誌記者の視点で描かれているが、その実当該小学生たちのジュブナイルであると思う。

注2:「これを読んでトラウマになった」と中学生がネット上の書評で残しているレベルの「いやミス」(読後感が最悪のミステリ←ほめてます)であるから、読むのであれば相当覚悟して読んでほしい。



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