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dai さんの日記

 
2025
8月 15
(金)
16:46
トップの本棚―終戦の日にやきうやろうぜ、平和への祈りを胸に
本文



2週続けて塾も夏期講習も関係のない野球の話題で恐縮だが、阪神強いな(嬉)。
おかげでこの盆休みは高校野球もあって終日(ひねもす)野球観戦三昧である。

夏の9連戦を5勝3敗(雨天中止1、さすが大雨降太朗さん!注1)と勝ち越して乗り切ったタイガースは、今日から巨人との東京ドーム3連戦である。

とくに明日16日は、「長嶋茂雄さん追悼試合」だからこそ、失礼のないように全力プレーで勝ってマジックを減らしてほしい。


『八月の御所グラウンド』 万城目学 文藝春秋


第170回直木賞受賞作。

お盆の京都で行われた奇妙な草野球大会で起きた奇跡を描く表題作と、都大路の冬の風物詩、女子全国高校駅伝でアンカーを走ることになった1年生の奮闘記「十二月の都大路上下(カケル」の二本立て。感涙必至。


表題作は、社会人1年目の彼女と別れたばかりの大学5回生である主人公が、盆休みを京都で孤独に過ごしていたところ、高校時代の同級生で同じ大学4回生の友人に声をかけられ、御所グラウンドで早朝に行われる草野球大会に駆り出されるお話である。なお、彼は野球未経験者である。
そもそも野球は1チーム9人で行うスポーツ。この大会のルールでは9人そろわないと不戦敗になるらしい。果たして試合は出来るのか。

なんでこれが「平和への祈り」かって?読んだらわかる。

世の中が平和だからこうやって野球ができるんだねっていう話、たぶん。

まあ、『鴨川ホルモー』といい、『プリンセス・トヨトミ』といい、ファンタジーの人(注2)だからね、万城目さんは。


高校受験的にはもう1作の「十二月の都大路上下ル」を語っておく必要があろう。去年少なくとも(私が確認した限りで)3つの県で公立高校入試に使われていた(注3)。


なるほど、「高校駅伝で欠場した先輩に代わってアンカーを任された1年生部員の気持ち」って、公立高校入試の読解問題にはちょうどいいレベル(体験したことはなくともまっとうに生きてきた中学生なら容易に想像できる、という意味で)だと思う。


だからって、この場面をふまえて「あなたが自分の役目や役割を意識して取り組んだことを240字以内で書け」っていう作文を出すのは、学校道徳的でいかにもつまらないからやめてほしい。


この続きでいかにも万城目ワールドなハプニングが彼女に降りかかるから、原作はとても楽しい(さすがにこの場面を入試に出したりはしないよな)。


なお、本棚には来年夏に並ぶ見込みである(多分、文庫が出るのは来夏)。

お盆休みなので今日の授業はなし。

それでは今日はこのへんで。





注1:阪神の大竹耕太郎投手が屋外球場で先発予定だと、しばしば雨で試合が流れるので、口の悪い一部ファンは彼のことをこのように呼ぶ。公式さんも悪乗りして「大雨降太朗さん」のフェイスタオルを阪神甲子園駅前にある「タイガースチームショップ アルプス」で売っていた。本人も記者から広島戦の予告先発を受けて「明日は大雨の予報ですが?」と水を向けられ「もうええて」と返事したとか。(なお広島から先、九州方面への新幹線も止まっていた模様)


注2:琵琶湖畔にある架空の高校を舞台にした異能バトル『偉大なる、しゅららぼん』もおすすめ。現実と非現実を巧みに融合させるマジックリアリズムの面目躍如といったところか。


注3:愛媛、岐阜、山梨で出題。3県ともほぼ同じたすきを受け取る直前の主人公の様子を描いた場面から出題。主人公の性格を問う愛媛の問5とか、いかにも学校道徳的で好き。ともあれ小説の読解練習としてはちょうどよいので、塾に自習に来て2025受験用の電話帳をひらいてやってみるとよい。(むしろ中2の2学期実力テストくらいのレベルのような気もするが)



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