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dai さんの日記
2024
10月
10
(木)
20:17
本文
日没ほどない時刻、中学生のレギュラー授業が始まる前くらい、まだ西の地平線にかろうじて金星が見えている時刻に天頂を見上げれば、夏の大三角が見えている。東の空には土星も見えている。
「あれが、デネブ、アルタイル、ベガ」である。
夜半前になると東からまず木星が、遅れて火星が顔を出す。木星と寄り添うようにすばるとアルデバランが出てきて、その後火星が出るくらいのタイミングでベテルギウスとリゲル、それを追うようにカストルとポルックスも出てくるので、てっぺん過ぎた東の星空は大変賑やかである。
『あるいは誰かの ユーウツ』 天川 栄人 講談社
悠太は中学2年生。合唱部に入っている。練習をさぼってスーパーボールで遊んでいたら、先輩からお前もそろそろ大人になれって1週間部活禁止を言い渡された。でも俺にはやることがある。動画サイトに「歌ってみた」動画を上げていて、そこそこ再生数が回っているのだ。(人魚姫の憂鬱)
物語文を書くと、「そんな悠太があこがれの歌い手さんとリアルで出会ってしまい大人になる話」である。(省略しすぎて誤解を招きかねない言い方)
なお、本書はジュンク堂だったら児童書のコーナーにあるだろうし、図書館なら子ども向けかYA(注1)に置かれる本であるからあしからず。
600字×20ページ(実際にはセリフが多いし地の文もすぐ段落が変わるから平均すると1ページ300字くらいか?)なので、すぐ読める。
このテンポでこれだけの情報量を抵抗なく載せられるなんて、日本語ってすごい。
各章ごとに語り手が変わり、自分の体の変化と、それに心の成長が追い付かないエピソードが綴られている短篇6篇。ひとくちに大人になるのに伴う体の変化といっても、その悩みは人それぞれ多様である。
ところで本書は、中学入試向けというより高校入試で使えるかもと思った。しかしいざ作問となると、出来事と心情の変化を伴う部分を2000~3000字で切り取って設問を付すというのは少々難しそうに思える。
そもそも、公立高校入試で小説を出す場合、今年一番人気だった『この夏の星を見る』(辻村深月、注2)など、高校生が主人公の部活ものが多い印象がある。
ざっと今年の各県の入試問題を見る限り、中学生が主人公のものは『バスを降りたら』(眞島めいり)山口県と、『ひこぼしをみあげて』(瀧羽麻子)三重県、『君の話を聞かせてくれよ』(村上雅郁)宮崎県と福島県、くらいだっただろうか。
では、授業の時間だ。
中1国語の実力テストで類義語、対義語(熟語の問題)が出るということで、栗東校中1国語では練習問題をやってもらった。
「原則」⇔「〇外」、「往路」⇔「〇路」、「抽象」⇔「〇体」、「模倣」⇔「〇造」…
こんな調子で60問くらい。
ちょびっとブレイクということで、「月がきれいですね」(By夏目漱石)の対義語を聞いてみた。ちょっと前に自分のTLのなかで話題になっていたのである。
(夜の学校のプールに忍び込んだという設定で)「あはは!ねぇ、めっちゃ水汚いね」
これだとどっちかというと類義語やね。
通説は、「月はきれいですね」とされるが、なるほどこれ以上のよい回答は今のところ思いつかない。
授業では紹介していないが、漱石ついでに「うれしょん」(注3)の対義語は何だろうか。
答えは『吾輩は猫である』の中にある(集英社文庫版なら下巻p71参照)。
それでは今日は、このへんで。
注1:YA(ヤングアダルト)。僕らが中学生くらいの頃にはなかった分類だが、小学校5年生くらいから中学生を対象にした読み物のこと。公立の図書館は本棚を分けておいていることが多く(近所なら草津市、守山市など)、当該年齢層の人に手に取りやすくなっている。
注2:公立高校だと、群馬、埼玉、東京共通、愛知、広島(見落としあるかも)。なお洛南高校(!)ちょっと意外だった。
注3:イッヌが久しぶりにご主人さまに会えたときなど、しっぽを振りすぎて走り回って挙句お漏らしする現象。対義語は「せつな糞」でどうでしょう。(こんな語が「吾輩は猫である」にあるなんて、気づいてなかったよ)
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