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dai さんの日記
2024
4月
13
(土)
01:14
本文
『国語教科書の思想』 石原千秋 ちくま新書
本書は20年近く前(2005年)に出版され、私が滋賀へ来てから国語という科目を講師として教える際のベースになった論考である。
小中学校の国語の教科書は、すべての教科の基礎になる読解力を身につけるというたてつけにはなっておらず、広い意味での道徳教育が目的になっている、とする。
「ゆとり世代」の定義には諸説あるも、2002年度施行の学習指導要領下での教育を受けた世代とするならば、本書で分析、考察されている小中学校の国語教科書はまさしくこの頃のものである。
2005年当時の光村図書の中1向け国語の教科書を開いてみよう。最初に扱われている物語文は『親友』(赤川次郎)である。
【「友情」って何だろう―スピーチの会を開く】という設定で、題材として『親友』という読み物が掲載されている。
『親友』は足の遅い麻子が運動会の徒競走に出るのを嫌がっていたところ、走る順番が一緒になった「親友」の知美がわざと転んで麻子との距離を縮めたというお話である。
そのことを踏まえて、2020年度施行の現学習指導要領下における光村図書中1向け国語教科書(現在中学3年生の世代から、大津市、草津市、栗東市の市立中学校で現在用いられている教科書)を開いてみよう。
最初の物語文は、『シンシュン』(西加奈子)である。おお、令和の教科書はなかなか攻めてるなあ(注1)、と著者名だけを見て期待していると、本文を読んで肩透かしを食らわされる。何のひねりも毒もなく、「みんな違ってみんないい」と書いてあるだけなのである。教科書のための書下ろしか、そらしゃあないな(中1の教科書にいったい何を期待していたのだ?)。
したがって、公立中学校において最初の定期テストでは、「みんな違ってみんないい(多様性)」と書いておけばよい評価が来るだろう(テキトー)。「ゆとり」の時に、中1最初の定期テストでは「これからは共生社会。みんなで手をつないでゴールしましょう」と書いておけばよい評価が来たように(ウソです)。
余談であるが、近隣の公立中学校で国語の教科書は光村図書を使用しているのに対し、光泉カトリック中学校は三省堂を使用している。内容に若干の入れ替えはあるものの、20年前も今もたぶん変わっていない。その理由は、本書を読めばなんとなくわかる気がする(まあ、「気がする」だけでそうじゃないかもしれないし、あくまで個人の感想の域を出ない)。
一言で言うなら光村はコンサバティブで、三省堂はラディカルである。どっちが良くてどっちが悪いという話ではない。
さて、授業の時間だ。
新学年での実力テストが終わったが、いかがだっただろうか。
中1でのっけから400点越えは、相当優秀だと思う。理科、社会が小学校のカラーテストの水準と比してまあまあ高度だし、また英語において、数年前までのようにアルファベットが聞き取れて自分の名前をローマ字で書けたらほぼ満点、という試験ではなくなっているからである。このまま順当に成長して膳所高に進学してね(まあ、それが簡単ではないことは重々承知であるが)。
中2中3の理社は80点以上取ってほしいところである。基本的に春休みの授業は、新学期の予習、つまり新学年の新しい単元をやっているので、前学年の全範囲から出題される理社がそこまで簡単ではないのはわかっている。それでも、折を見て何度となく復習している事項だろうし、問題自体はそこまで難しくない(公立高校入試の標準レベル程度)のだから、それくらい取りたい。
とはいえ、点数に一喜一憂することにあまりメリットはない。間違えたところを、次は間違えないようにと復習しておけばよいのだ。
なお、これは普段の宿題でも同じである。
ちゃんと最初から授業内容が100%頭に入っていて、宿題の練習問題が100%自信を持ってノーミスでできるということはあまりないのだから(もし最初から何も参照せずに解いて全部〇だったのなら、宿題内容に沿って出題された確認テストは余裕で満点が取れるだろう。ま、講師によるが)、大事なのは丸つけしたその後である。
つまり、間違えた問題や疑問を持った問題こそ、深い理解や授業を超えた成長の種なのである。
何がどう間違いだったのか(ある知識を知らなかっただけなのか、考えてもわからない内容が含まれていたのか、あるいは授業で触れられていなかった情報が含まれていたのか)を自分なりに分析して、宿題ノートに書き留めておくのだ。それを踏まえて次の時間に質問するのである。
それでは今日は、このへんで。
注1:北村匠海・小松菜奈・吉沢亮が三兄弟を演じる映画『さくら』(原作 西加奈子 2020松竹)、当時中学生がカップルで見に行ってめっちゃ気まずくなることで評判の映画だったそうだ。
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