@
dai さんの日記
2023
4月
23
(日)
01:10
本文
業務連絡
GH校、4月より漫画を禁帯出としております。持って帰ったままの人は至急本棚に戻しておいてください。
「倫理」とは人倫の道であり、道徳の規範となる原理。
学ばずとも将来、困ることはない学問。(下記の本の扉から引用)
『ここは今から倫理です』 雨瀬シオリ ヤングジャンプコミックス
2021年にNHKで実写ドラマ化(全8話)。私は基本的にテレビを見ない人なのでレビューを読んだだけなのだが、最終回のそれだけで泣きそうになった。
テーマは、クラス内のいじめと功利主義。
1巻の最初から中学生にはかなりセンシティブなので、本棚には置かない。でも高校生以上にはあえて薦めたいなあ。
「功利主義」といえば、高校の教科書が「現代社会」から「公共」になって、4,5月は倫理的な課題を取り扱うものの、その内容は大きく変わったかもしれない。
自由についてのカントの道徳法則と人格、J.S.ミルの自由についての考え方の理解を基に、人間を「個人」として尊重することの意味について多面的・多角的に考察します。
(某社「公共」のシラバスより引用)
このあとアーレント、ハーバーマス、和辻哲郎からの丸山真男を経て、5月には再び「功利主義と幸福の原理」「義務論と公正の原理」に入るとしている。義務論はロールズの正義論から始まりこれを経済の問題に敷衍したインドの経済学者アルティマ・センまで。
わあ、もりだくさんやなあ。
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 M・ヴェーバー 岩波文庫
さすがに公共の教科書には登場しないが、倫理では触れることであろうドイツの社会学者M・ヴェーバー。プロテスタント、とりわけカルヴィン派が近代資本主義に親和的であることと、その背景について仮説を立て、分析する。
そういや学生時代、某法律学系サークルの自己紹介か何かに「ほしいもの、Beruf」と書き先輩から「君は何を言い出すんだ」と突っ込まれたことを思い出す(ワイ、バリバリの浄土真宗)。
『暇と退屈の倫理学』 國分功一郎 新潮文庫
ジュンク堂で平積みしてあった。東大・京大で一番売れている本らしい。10年ぐらい前は外山滋比古だった記憶があるから随分トレンドが変わったものだ。文庫とはいえ哲学書がそんなに売れるの?と思い手に取ってみたが確かに面白い。
「歴史総合」の履修を終えた法学・経済学を志す高校2年生にぜひお奨めしたい。
人類は豊かさを目指してきた。しかし人間は豊かさを素直に喜べない。豊かになると、金銭的、時間的余裕が生まれる。すると人は生きてゆくための労働にすべての時間を割く必要になる。すなわち暇を得る、と。
「人間は考える葦」で有名なパスカルは次のように述べる。
人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないがために起こる。部屋でじっとしていればいいのに、そうできない。そのためにわざわざ不幸を招いている
退屈の対義語は興奮であって、快楽ではない。ワクワクできれば、その結果が快か不快かはどうでもよい。
國分先生は自らたてた問いに対し、ハイデガー(ちなみにどうでもよいトリビアだがアーレントの彼ピだ)に依拠して論じてゆくのだが、高校生的にはそこまでお付き合いしなくても良いかも。
第3章ぐらいまで読めばよいんじゃないか。社会科の教科書に書かれた常識と思っていたことが、いろいろ揺るがされるんじゃないかな。
さて、少しだけ授業の時間だ。
以上は、高校講座4回目の前半で扱ったテーマの背景でもある。「公共」って科目は欲張り過ぎ(「歴史総合」もか)なんよね、なんせ2単位で消化できるボリュームではない。
まあ、理科基礎もそうだけど、興味を持ったらぜひ大学はこちらの分野へいらっしゃい、というプロモーションでもあるんよね。
これらの科目って、進路選択の一助になっているんじゃないかと(なお、この論は高校時代の「政治・経済」の先生の受け売りである。私が物理9(10段階)だったにもかかわらず法学部を受けることにしたきっかけの一つである)。
その意味で1年生で文理選択を迫られるのは不幸だと思う。カリキュラム上仕方のないことなのは重々承知だが。
とりとめのない個人の感想になってしまった。それでは今日は、このへんで。
それでは今日は、このへんで。
閲覧(1435)
コメントを書く |
---|
コメントを書くにはログインが必要です。 |
最近の日記
最近のコメント
- RE: daiの入試問題研究Vol26. dai [05-08 22:34]
- RE: daiの問題研究Vol.16―試 dai [03-06 15:08]
- RE: トップの本棚―5文字で百人一首 dai [07-06 22:41]