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dai さんの日記
2021
12月
4
(土)
10:31
本文
タイトルもレーベルもミステリを名乗っているものの、実際のところ瑞々しい筆致の青春小説を読んだ。
『ハイスクール奇面組』(昭和末期のマンガ(注1)だ)に出てくる高校の用務員さん並みの感想を持った。
「しぇーしゅんだなー」
『探偵は教室にいない』 川澄浩平 創元推理文庫
わたし、海砂真史(まふみ)。札幌市内の公立中学校2年生。女子バスケ部。身長は169cm(自称)。同じクラスで同じバスケ部員でいつも一緒につるんでいる栗山英奈(えな)は身長150センチ。まわりから凸凹コンビと言われている。
ここに男子バスケ部の岩瀬京介、田口総士が加わり、四人四様それぞれに、日々の中で出会ったささやかな謎を通して新しい扉を開く瞬間を描く4つの連作短編集である。
探偵役は同学年でほとんど学校へ行っていないという、真史の幼馴染みの鳥飼歩(あゆむ)。
最初の謎は真史の机の中に入っていた差出人不明のラブレターについて。
誰が、どういう意図でコピー用紙に印刷したラブレターを送ってきたのか、真史と歩がその謎を解く〈Love letter from…〉
ミステリーとしては別にどうということはない。手紙の文面だけで読者はだれが差出人か察しがつくんじゃないかな(私だけではあるまい)。いやー、青春やわ。
こっそり音楽室で合唱コンの伴奏の練習をしていた京介、真史と英奈にその姿を目撃されてしまうが、その週末、京介は伴奏をやらないと言った。〈ピアニストは蚊帳の外〉
隣の中学校に彼女がいて、クラスの人にはそのことを内緒にしている総士(バスケ部の3人には公然の秘密)が、別の女の子と同じ傘に入って歩いているところを真史が目撃。
見た目はチャラいが真面目なところのある総士が「浮気」?〈バースデイ〉
真史、朝父親とケンカしてプチ家出をするも、十二月の寒空の下帰れなくなる。日も暮れてしまい英奈にSOSを出すも、話している途中でスマホの充電が切れて…〈家出少女〉
最初の数ページから語彙を拾っておこう。
「傍ら、躍起、郷愁、執拗、些末、憤慨、掠め取る、抗う」
大丈夫、これらには全部フリガナが打ってある。意味が想像できるのならこの物語は小中学生でも楽しく読めるだろう。
では授業の時間。
本日は中2数強の子に出した1問を紹介しよう。最近、数学で早く終わった子向けに出している問題は、平面図形ばっかりである。
△ABCにおいてAB=2、AC=1とする。∠BACの二等分線と辺BCの交点をDとする。AD=BDとなるとき、△ABCの面積を求めよ。
(京都大学2010文系1(2))
2010年前後の京大の問題って、今から振り返るとときどき異様に易しい問題が紛れ込んでいる。その出題の意図を少々測りかねていたのだが、今思えば「ゆとり世代」に過剰対応していたのかな、知らんけど。
本来の試験では参考図は付されていないが、授業では白板に参考図を示したうえで考えてもらった。
角の二等分線の定理、相似、三平方の定理辺りでカタが付くので、中3なら十分やれると思う(√や簡単な2次方程式を解く必要があるので一般の中2以下には無理があるかも)。
高校生にとっては三角比を使いたくなるから、ひょっとして逆に難しく感じるのかもしれない。
注1:『週刊少年ジャンプ』に、1980~1987頃連載され、アニメでもやっていた。
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