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dai さんの日記
2021
9月
18
(土)
18:24
本文
どこかの小学校の校長先生と名乗る方が妙なことを口走っていたのを目撃した。
自称校長「三角形と平行四辺形の求積の最大の問題点は「÷2」がつく公式がどちらだったか忘れ定着しないことです。」
わい「形を思い浮かべたら間違うわけないやろ。どんな指導しとんねん。」
公式だけを覚えさせようとするからそんなことになるのだろう。平行四辺形を対角線で「はんぶんこ」にすれば三角形になる、ということをすっ飛ばして公式暗記させているのだろうか。
このように、公式やパターンを考えさせずに覚えさせ、答えがあっていたらできたことにするのをパターンマッチングという。パターンマッチングは子どもを思考停止させるのだ。こういう指導方法をしている人の中には、教えたとおりの方法でないと×をつける人も見られる。出来ない子はいつまでもできないままとなり、できる子がより賢くなる機会がこうやって失われていくので、いいことは一つもない。
『下剋上算数 難関校受験編』 桜井信一 産経新聞出版
中学受験用の算数の問題集。10問ワンセット、1回15分目安の問題が100回分掲載されている。難関中学を受験したい小学校6年生向け。近年滋賀に進出してきた塾のことを褒めるのはなんだか癪だけど、とってもよくできている。
弊塾のどんどんコース(小学生対象、大将軍校、栗東校で開講)で、小学校の算数だと物足りない子は使ってもらっていいかも(ただし本書じゃなくて「基礎編」の方がいいと思う。本書は本屋さんで各自購入してください)。該当のお子さんをお持ちの保護者さんは応相談。
特にメネラウスの定理とチェバの定理の扱いはお気に入りである。
そもそもメネラウスの定理は「三角形の相似」の話。難関中学校側からすれば「メネラウスを知っているから解ける」子よりも、原理原則(三角形の相似)を見つけて粘り強く正解にたどり着ける」子に来てほしいはずである。
チェバの定理も同様。「三角形の面積比(高さが同じなら底辺の比が面積の比)」の話である。
「桜井信一の板書」で、この点が詳しく解説されている。
一方気に入らないところもあって、まあ自分が使う分には無視すればいいだけの話だが、「割り算には2種類ある」の話。
小学校教員の指導書、あるいは教育学部の学生向けの教科書に載っているのだろう、いわゆる等分徐と包含除について。
指導者が意識するのはまあいいとして、この区別子どもに教える必要ある?
その上で、割り算と余りの問題(高校生で苦手な人が多い「整数問題」だ。思考力が問えるので東大、京大、一橋大などで典型的でない問題が好んで出題される)を扱っているのだが、「次の6パターンを覚えたら攻略」って感じでやっているのがさらに気に入らない。
例題
6で割ると2余り、8で割ると4余り、9で割ると8余る整数のうち400に最も近い数を求めなさい。
これは「わりあま3《で型》」らしい。なんかすごい奥義を教わるみたいだが結局不定方程式(注1)に持ち込むんでしょ。
そういうのは、難関中受験をしない小学生に刷り込みたいとは思わない。最初に批判したパターンマッチングそのものだからである。
あといわゆる「特殊算(文章題)」について言いたいことがあるけど紙幅の都合で次の機会に。
授業の時間だ。
そんな文句をたれつつ、高校1年生に「二次方程式の解の配置」(注2)を教える。
(うそです今週は三角比に入りました)
「青チャートの例題で勉強しとけ」という某高校のやり方だと、生徒はパターンマッチングに陥りがち(そして「こんなの憶えられへん無理」ってなる)なんだよなあ。せめて「グラフを見て条件をどう絞るかを考える」、という手順をきちんと踏んでもらわないと…。
注1:ちなみに、高校の「数学A」の教科書に載っている。今どきの中学受験生ってってこんなことまでやるんや、すごーい(棒)
注2:「2次関数」のボスキャラ的存在。手元の「フォーカスゴールド」にはちょうど6パターン載っている。6パターン全部一応通ったうえで、「結局グラフ見て都度条件考えたらええんよね」となってほしい。
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