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dai さんの日記
「トップの本棚」は「わたくしdaiが小学校高学年~高校1年くらいの時に出会っていたらきっと嬉しかっただろうな」と思う本を、塾のブログの場を借りて勝手に紹介するコーナーである。
ここ3年くらい週1冊を目標に書いてきたが、自分の趣味で選んでいる以上早々都合よく中学生にお薦めできる本に出会う訳ではなく、また本棚に置く本のジャンルも私の興味関心に偏っている点、ご容赦願いたい。
読書とはすべからく(須く、注1)エンタメである。
世に異論があることは承知だが、読書にそれ以上の効用を求めるべきではない。好きな本を好きなように読めば良いと思う。
また、自分のペースで進められることが読書の最大のメリットである。
もっとも、求めずとも次のようなおまけがついてくる。これをとっかかりに辞書でも引けば、より教養が豊かになること請け合いである。
たとえば今から紹介する本の中に、さっと見返しても次のような表現が目に入る。
才能ほど胡乱(うろん)なものはない
中(あた)らずとも雖(いえど)も遠からず
泣いて馬謖(ばしょく)を斬る
仇敵(きゅうてき)の身を案じ
…
…
『合唱 岬洋介の帰還』 中山七里 宝島社文庫
とてもおもしろかった(語彙力のちゃぶ台返し)。
ストーリー上出てきようがなく仕方がないことであるが、本シリーズのおいしいところの一つである演奏シーンの描写が無いのだけが唯一残念(ネタバレではない)。
中山七里作品10年間の集大成、いろいろな作品、シリーズのオールスターそろい踏みである。
幼稚園に侵入し幼児、教員ら5人を惨殺し、直後に自ら覚せい剤を打った凶悪犯、容疑者は間もなく逮捕、送検。容疑者は犯行当時のことを何も覚えていないと供述。担当検事の天生は取り調べでなんとか殺意を立証しようと試みるが、取調室で意識を失い、気が付くと目の前に容疑者の銃殺死体が。
客観的事実からは、検事が銃殺したとしか考えられないが、果たして真相は…
岬洋介が探偵役となる音楽ミステリのシリーズは、10年ほど前に出た中山七里のデビュー作『さよならドビュッシー』、同年続けて出版された『おやすみラフマニノフ』にさかのぼる。3年後に『いつまでもショパン』、3年あけて『どこかでベートーヴェン』。これらは演奏シーンの描写がすごい。
ここまではこのシリーズが好きで追いかけていたんだけどな…
惜しむらくは本作を読む前に、今回の被告人となる天生検事と司法修習が同期の岬洋介の物語『もういちどベートーヴェン』を先に読んでおきたかった(1年前に出ていたらしい)。
もちろん、シリーズを知らず手に取った人も、単品のミステリとして十分楽しめる内容になっている。
『さよならドビュッシー』『おやすみラフマニノフ』『どこかでベートーヴェン』の3作は今回の『合唱』とともに現在栗東校文庫の本棚にあります。
ただし夏休みの課題図書(読書感想文)としては、使いづらいです(個人の感想です)。
注1:ちょっとだけ国語の勉強を。ここでは、本来の「須く」(すべからく~すべし)(当然~するべきだ、漢文の再読文字として覚えておこう!)の意味で用いておらず、誤用とされている「まったくもって、ことごとく」の意味で用いている。
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