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dai さんの日記
2020
12月
29
(火)
18:50
本文
前回当ブログで紹介した京都大学2011年文系1番(1)の問題、次のように解いてきた答案があった。
角の二等分線の性質により
AD^2=AB×AC−BD×CD
これにより
AD^2=12×10−6×5=90
よってAD=3√10
そんな公式があったんか。知らんかった!(すっとぼけ)
この生徒の答案には実は続きがあった。
「この性質は次のように証明できる。
△ABCの外接円を書き直線ADと円との交点をEとする。
…」
(以下略)
この証明が実に素晴らしかった(若干タイプミスがあったが、とてもよく考えられていた)。
したがって、今回の答案の中で文句なしのベストアンサー!
まあ、証明できるんやったら、その証明の要領でダイレクトに解いてくれれば、それでよかったのだけど。(一般化する必要性はそれほど感じない。使い道が狭いし(注1))
そういう意味では、彼の提出してくれた解答は、私の想定解の一つと基本的に同じだったかな。
私の想定解その1
↓ ↓
これと方べきの定理によりxy=5×6でいっちょ上がり。
他には、AからBCに垂線を下ろして三平方の定理をもちいてADについて方程式を立てていたものが見られた。
(こっちが一番ありそうな想定解だと思っていた。記事の続きに「ヘロンの公式を、三平方の定理を用いて証明」とか書いたし)
前者のいわば「公式」、どこかで紹介されていないかとググってみたら、みつけた。
『高校数学の美しい物語』 マスオ SB Creative
初版2016年1月。著者のマスオさんはこの後も同名のウェブサイトで高校数学の基本定理・公式から大学数学や数学オリンピックの話題まで、さまざまな数学に関する興味深い記事を発信されている。
冒頭の公式は今年発信の記事「角の二等分線に関する3つの公式」の3つ目に紹介されている。
本書の中でいちばん好きな記事は
「正多面体が5種類しかないことの2通りの証明」
である。
オイラーの多面体定理(注2)から、整数問題(因数分解を用いる)に持ち込んでいるところが特にお気に入りである。
さて、授業の時間。
「数学の勉強は公式を丸暗記して、これを問題に当てはめること」という思い込みを排除したい。
「数学の勉強は、試行錯誤を通じて数や図形の性質を理解、応用すること」である。
速さに3つも公式はいらない。割合についても3つも公式はいらない。
ましてこれを一つにまとめて「はじき」「くもわ」(ホラカンタンデショ)とかいうのを最初から教えるのは、子どもから「思考して試行して理解する」機会を奪う最低のやり方だと思う。
「1分に80mのペースで歩くと、10分で800m、20分で1600m、60分だと4800m、つまり時速4.8km」というふうに、自分の頭で考えていけるようにすることが「考える力を育てる」ということではないだろうか。4
「はじき」は子どもが使っているのを咎めるものではないが、教える側が初めから「速さの意味」を理解させることをあきらめて、
「はじき」に当てはめたら答えが出る(以上!)。テストで満点だからこの子はできるようになったことにする!
というのはあまりにも乱暴なやり方だ(注3)。
2020年は以上です。
2021年は明るく、実り多い1年になりますように。
最後に1問(一応、今年度の中3向き。有名問題につきプレゼントはありません)
「45×45を計算したうえで、その結果を利用して2021を素因数分解しなさい」
注1:私のクラスでは、数学の時間に「汎用性が小さい」という表現をしたことがありますね。
注2:「オイラーの多面体定理」という名前はともかく、空間図形に関するこの性質は、中1のテキストで紹介しているよ。
注3:割合や速さって、生活の中で自然に覚えるのが理想ですよね。
「5パーセント引きなので60円安くなった。元の値段はいくら?」をいちいち「くもわ」にあてはめて「式:60÷0.05」とかしないですよね。
「10%で120円。だから元の値段は1200円」ってやりますよね。
角の二等分線の性質により
AD^2=AB×AC−BD×CD
これにより
AD^2=12×10−6×5=90
よってAD=3√10
そんな公式があったんか。知らんかった!(すっとぼけ)
この生徒の答案には実は続きがあった。
「この性質は次のように証明できる。
△ABCの外接円を書き直線ADと円との交点をEとする。
…」
(以下略)
この証明が実に素晴らしかった(若干タイプミスがあったが、とてもよく考えられていた)。
したがって、今回の答案の中で文句なしのベストアンサー!
まあ、証明できるんやったら、その証明の要領でダイレクトに解いてくれれば、それでよかったのだけど。(一般化する必要性はそれほど感じない。使い道が狭いし(注1))
そういう意味では、彼の提出してくれた解答は、私の想定解の一つと基本的に同じだったかな。
私の想定解その1
↓ ↓
これと方べきの定理によりxy=5×6でいっちょ上がり。
他には、AからBCに垂線を下ろして三平方の定理をもちいてADについて方程式を立てていたものが見られた。
(こっちが一番ありそうな想定解だと思っていた。記事の続きに「ヘロンの公式を、三平方の定理を用いて証明」とか書いたし)
前者のいわば「公式」、どこかで紹介されていないかとググってみたら、みつけた。
『高校数学の美しい物語』 マスオ SB Creative
初版2016年1月。著者のマスオさんはこの後も同名のウェブサイトで高校数学の基本定理・公式から大学数学や数学オリンピックの話題まで、さまざまな数学に関する興味深い記事を発信されている。
冒頭の公式は今年発信の記事「角の二等分線に関する3つの公式」の3つ目に紹介されている。
本書の中でいちばん好きな記事は
「正多面体が5種類しかないことの2通りの証明」
である。
オイラーの多面体定理(注2)から、整数問題(因数分解を用いる)に持ち込んでいるところが特にお気に入りである。
さて、授業の時間。
「数学の勉強は公式を丸暗記して、これを問題に当てはめること」という思い込みを排除したい。
「数学の勉強は、試行錯誤を通じて数や図形の性質を理解、応用すること」である。
速さに3つも公式はいらない。割合についても3つも公式はいらない。
ましてこれを一つにまとめて「はじき」「くもわ」(ホラカンタンデショ)とかいうのを最初から教えるのは、子どもから「思考して試行して理解する」機会を奪う最低のやり方だと思う。
「1分に80mのペースで歩くと、10分で800m、20分で1600m、60分だと4800m、つまり時速4.8km」というふうに、自分の頭で考えていけるようにすることが「考える力を育てる」ということではないだろうか。4
「はじき」は子どもが使っているのを咎めるものではないが、教える側が初めから「速さの意味」を理解させることをあきらめて、
「はじき」に当てはめたら答えが出る(以上!)。テストで満点だからこの子はできるようになったことにする!
というのはあまりにも乱暴なやり方だ(注3)。
2020年は以上です。
2021年は明るく、実り多い1年になりますように。
最後に1問(一応、今年度の中3向き。有名問題につきプレゼントはありません)
「45×45を計算したうえで、その結果を利用して2021を素因数分解しなさい」
注1:私のクラスでは、数学の時間に「汎用性が小さい」という表現をしたことがありますね。
注2:「オイラーの多面体定理」という名前はともかく、空間図形に関するこの性質は、中1のテキストで紹介しているよ。
注3:割合や速さって、生活の中で自然に覚えるのが理想ですよね。
「5パーセント引きなので60円安くなった。元の値段はいくら?」をいちいち「くもわ」にあてはめて「式:60÷0.05」とかしないですよね。
「10%で120円。だから元の値段は1200円」ってやりますよね。
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