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dai さんの日記
2020
7月
3
(金)
19:57
本文
今週はじめ、私の周辺のSNS界隈で読書感想文の要否が話題になっていた。国語の教員だという方の「読書感想文の強制が日本人の作文嫌いと読書嫌いを生んでいる。」というつぶやきがきっかけである。
確かに、誰に宛てて何を書いたらよいのか分からない文章を書くことは苦痛でしかない。夏休みの課題になっている読書感想文は、この点について事前に明確な指導がなく、提出しても読まれているのかどうかわからないきらいがある(そう思って好きに書いたら、事後に学校道徳(注1)に基づく指導が入ることがあるから、なおのこと面倒である)。
そりゃ、やっても意味がないと感じるのも無理はない。
まあ、それを言い出したら「逆上がり」も「水泳」も「遠足」も「因数分解」もいらんけど。
読書感想文は、事前に書き方の指導(本の選び方、材料集め、書く分量についてのアドバイスなど)があって、そのうえで「自由に」表現することが許されている限りにおいて、有意義なものであると思う。
その本の事を知らない人にその本の事(良い点でも悪い点でもよい)を文章で伝える練習をすることは、コミュニケーションのよいトレーニングになるからである。
『東京百景』 又吉直樹 角川文庫
この流れで言うと重松清あたりを持ってきて「学校(で好ましいとされる)道徳」について多くを語るところであろうが、思いっきり流れに掉さして行こう。
又吉直樹が芸人を目指し上京した先で現実に傷つき、挫折を味わった、東京での日々をつづったエッセイである。
「感情の隅にある羞恥を自分で撫でている」(文庫p61)というフレーズの向こうに太宰の影を見る。
太宰の影を見たついでに感想文を二つほど紹介しておこう。『走れメロス』の感想文である。
ひとつは、米澤穂信『いまさら翼と言われても』の作中、主人公、省エネ主義の奉太郎が中学生の時に原稿用紙5枚にわたって書いたもの(注2)。
もうひとつは、大学入試小論文の予備校講師、お湯先生が本気で書いたもの。文章投稿サイト「note」で読むことができる逸品である。
中学生諸君がこんなに完成された文章を書く必要はなく、むしろ感想文ってこんなに自由でいいんだって思ってほしい。
さて授業の時間だ。
今年も中3の実践演習が始まった。全10回で土曜か日曜に行う1日勉強合宿である。この時期は点数うんぬんよりも、テスト直しとテスト直しをきっかけに今までに学習したことを「つないで」自分のものにする(これが本当の意味での「試験勉強」である)練習ができればよい。テスト直しの積み重ねが学力の強固な土台となるのだ。
コロナ禍があった今年の今の時期に滋賀の中学3年生が同じ試験を受けたら、恐らく平均点は5教科190点(500点満点)くらいになるだろう。350点はこのまま順調にいけば膳所、と思ってくれてよい(油断することなく弛まず励むのだぞ)。
ただし、テスト直しをしたときにこれだったら350点余裕で越えられたやん、悔しい、とも思ってほしい。
栗東校で社会の解説をした。
江戸時代の歴史については、江戸幕府の成立(家康)→鎖国(家光)→元禄文化(綱吉)→新井白石→享保の改革(吉宗、1716〜)→田沼の時代→寛政の改革(松平、1787〜)→化政文化(家斉、大御所時代)→天保の改革(水野、1841〜)。
最低でも三大改革をフックにして学習した事柄を「紐づけて」いってほしい。
この際、フックとなる年号は覚えてしまうのも一つの手である。三大改革は「色、花、良い」(注3)と覚えてしまうのだ。
注1:「学校道徳」と言う語に出会ったのは、石原千秋『小説入門のための高校入試国語』(NHKブックス)だっただろうか。高校入試の国語の問題は学校生活における道徳観に規定されているという言説に、大いに納得したものである。いわんや定期テストをや。
定期テストでは(たまに)変な問題が出ることがあるから100点にこだわらなくていいよ。定期テスト勉強で先生のクセを前提にした瑣末な点を詰めているヒマがあったら、その範囲における基礎基本を自分のものにするとともに、より深い見識を獲得するきっかけにすることを目指そう。
注2:去年の夏休みくらいに私の書いた当ブログで紹介した覚えが
注3:16、87、41。なお、語呂合わせは、とっかかりのない事項を関連付けて覚える一つの手段としては有効であり、自由にやったらよいと思う。元素の周期表の「水兵リーベ…」とか、濃尾平野の「いながきゴロー」とか、平安遷都の「泣くよ(794)坊さん平安京」とか。
しかし、「はじき」「くもわ」「しみた」。てめえらはダメだ。はじめから関連付けられている用語の定義をすっ飛ばして答えを出す癖をつけると、応用のきかないアホになるからだ。(分かっててショートカットに使う分にはこの限りではない、と一瞬思ったが、よくよく考えてみると「はじき」を経由するのはかえって遠回りで、分かっている人はそもそも使わないのでは。)
いかん。つい熱くなってしまった。まさかの2000字越えで、読書感想文なら字数オーバーである。最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございました。
確かに、誰に宛てて何を書いたらよいのか分からない文章を書くことは苦痛でしかない。夏休みの課題になっている読書感想文は、この点について事前に明確な指導がなく、提出しても読まれているのかどうかわからないきらいがある(そう思って好きに書いたら、事後に学校道徳(注1)に基づく指導が入ることがあるから、なおのこと面倒である)。
そりゃ、やっても意味がないと感じるのも無理はない。
まあ、それを言い出したら「逆上がり」も「水泳」も「遠足」も「因数分解」もいらんけど。
読書感想文は、事前に書き方の指導(本の選び方、材料集め、書く分量についてのアドバイスなど)があって、そのうえで「自由に」表現することが許されている限りにおいて、有意義なものであると思う。
その本の事を知らない人にその本の事(良い点でも悪い点でもよい)を文章で伝える練習をすることは、コミュニケーションのよいトレーニングになるからである。
『東京百景』 又吉直樹 角川文庫
この流れで言うと重松清あたりを持ってきて「学校(で好ましいとされる)道徳」について多くを語るところであろうが、思いっきり流れに掉さして行こう。
又吉直樹が芸人を目指し上京した先で現実に傷つき、挫折を味わった、東京での日々をつづったエッセイである。
「感情の隅にある羞恥を自分で撫でている」(文庫p61)というフレーズの向こうに太宰の影を見る。
太宰の影を見たついでに感想文を二つほど紹介しておこう。『走れメロス』の感想文である。
ひとつは、米澤穂信『いまさら翼と言われても』の作中、主人公、省エネ主義の奉太郎が中学生の時に原稿用紙5枚にわたって書いたもの(注2)。
もうひとつは、大学入試小論文の予備校講師、お湯先生が本気で書いたもの。文章投稿サイト「note」で読むことができる逸品である。
中学生諸君がこんなに完成された文章を書く必要はなく、むしろ感想文ってこんなに自由でいいんだって思ってほしい。
さて授業の時間だ。
今年も中3の実践演習が始まった。全10回で土曜か日曜に行う1日勉強合宿である。この時期は点数うんぬんよりも、テスト直しとテスト直しをきっかけに今までに学習したことを「つないで」自分のものにする(これが本当の意味での「試験勉強」である)練習ができればよい。テスト直しの積み重ねが学力の強固な土台となるのだ。
コロナ禍があった今年の今の時期に滋賀の中学3年生が同じ試験を受けたら、恐らく平均点は5教科190点(500点満点)くらいになるだろう。350点はこのまま順調にいけば膳所、と思ってくれてよい(油断することなく弛まず励むのだぞ)。
ただし、テスト直しをしたときにこれだったら350点余裕で越えられたやん、悔しい、とも思ってほしい。
栗東校で社会の解説をした。
江戸時代の歴史については、江戸幕府の成立(家康)→鎖国(家光)→元禄文化(綱吉)→新井白石→享保の改革(吉宗、1716〜)→田沼の時代→寛政の改革(松平、1787〜)→化政文化(家斉、大御所時代)→天保の改革(水野、1841〜)。
最低でも三大改革をフックにして学習した事柄を「紐づけて」いってほしい。
この際、フックとなる年号は覚えてしまうのも一つの手である。三大改革は「色、花、良い」(注3)と覚えてしまうのだ。
注1:「学校道徳」と言う語に出会ったのは、石原千秋『小説入門のための高校入試国語』(NHKブックス)だっただろうか。高校入試の国語の問題は学校生活における道徳観に規定されているという言説に、大いに納得したものである。いわんや定期テストをや。
定期テストでは(たまに)変な問題が出ることがあるから100点にこだわらなくていいよ。定期テスト勉強で先生のクセを前提にした瑣末な点を詰めているヒマがあったら、その範囲における基礎基本を自分のものにするとともに、より深い見識を獲得するきっかけにすることを目指そう。
注2:去年の夏休みくらいに私の書いた当ブログで紹介した覚えが
注3:16、87、41。なお、語呂合わせは、とっかかりのない事項を関連付けて覚える一つの手段としては有効であり、自由にやったらよいと思う。元素の周期表の「水兵リーベ…」とか、濃尾平野の「いながきゴロー」とか、平安遷都の「泣くよ(794)坊さん平安京」とか。
しかし、「はじき」「くもわ」「しみた」。てめえらはダメだ。はじめから関連付けられている用語の定義をすっ飛ばして答えを出す癖をつけると、応用のきかないアホになるからだ。(分かっててショートカットに使う分にはこの限りではない、と一瞬思ったが、よくよく考えてみると「はじき」を経由するのはかえって遠回りで、分かっている人はそもそも使わないのでは。)
いかん。つい熱くなってしまった。まさかの2000字越えで、読書感想文なら字数オーバーである。最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございました。
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