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dai さんの日記
2020
6月
26
(金)
16:12
本文
#検察庁法改正に反対します。
今のタイミングでこの話題に触れるのは時流に乗り遅れている気がするが、気にしない。
ちょうど中3の社会で三権分立を勉強するから、いいのである。
「首相官邸のホームページに掲出されている三権分立の図がおかしい。」
ひと月あまり前、検察庁法改正案の話題に関連して、ネットで騒ぎになっていた。
なるほど見てみると、内閣と国民の間の矢印の向きが、教科書などで見かけるそれとは逆になっている。
『代議制民主主義 「民意」と「政治家」を問い直す』 待鳥聡史 中公新書
質実剛健で毎度おなじみ、中公新書である。著者は学生時代のサークルの2回上の先輩で、当時たいへんお世話になった待鳥さんである。京大の、または京大出身の政治学の先生はよく中公新書で著作を発表されているイメージがある(注1)。
それはともかく、本書ではイギリスの議院内閣制、アメリカの大統領制、そして日本の議院内閣制の歴史を整理することで、現在の立法府のあり方と課題を明らかにしてゆく。学生時代に抱いていたものの卒業後ずっと忘れていたことだが、自由主義と民主主義の緊張関係、つまりは相容れない部分についての問題意識を思い出す、よいきっかけとなった。
さて授業の時間だ。
かかる問題意識のためだろうか、社会科で中3に公民を教える私はなんだか歯切れが悪い。学生時代ぶりなので忘れている、ということだけではあるまい。
テキストは「1民主政治のしくみ」として、民主政治の考え方(リンカーンのゲティスバーグ演説→議会制民主主義→多数決)、三権分立、立憲主義と法の支配、というふうに順に説明している。このあとで「2選挙のしくみ」「3政党と世論」「4国会のしくみ」「5内閣のしくみ」…と続くのだ(注2)。
この順番で学ぶとして、「三権分立」をあっさり触れたところで、あとにつながるかどうか。でもじっくりやるとするなら「1民主政治のしくみ」で3,4時間はほしい(高校の「政治・経済」くらいの深い内容になってしまう)けど、それは無理な相談だよなあ。
そもそも三権分立の説明は、大統領制の説明にはなじむが、議院内閣制の説明にはなじみにくい。少々説明が苦しいのだ。「均衡と抑制」と言いながら、バランスを欠いているように思われるからだ。
ぶっちゃけ「国民→国会⇔内閣(内閣は国会に対して連帯して責任を負う)」と、直列に理解しておけばよくね?
ともあれ「三権分立」をどう教えておくのがよいか、少々取り扱いに困っているのである。
注1:そういや学生時代のゼミの指導教官も中公新書から著作を出されていた。教科書に指定されていたのだが、専門書の事を考えるとずいぶん安上がりで有り難かったなあ。
注2:栗東市、草津市で使われている教科書(東京書籍)は、選挙制度→国会→内閣→裁判所とやったあと、章を改めて「三権の抑制と均衡」(教科書p100〜101)としている。モンテスキューのアイデアとして権力の抑制と均衡について触れたら、すぐに選挙制度に入ることにして、教科書に合わしておこうかな。
日文は大体テキストと同じ順だが三権分立が初出になるp76において、「法の支配」の記述が薄すぎる(立憲主義は統治機構の所ではなく人権より前(p38あたり)にやっているからよいということだろうが)。授業でちゃんと戻って触れてあげればよいのだが、公民の授業の現場の余裕のなさを知っているだけに、これでいいのかなと思ってしまう。
今のタイミングでこの話題に触れるのは時流に乗り遅れている気がするが、気にしない。
ちょうど中3の社会で三権分立を勉強するから、いいのである。
「首相官邸のホームページに掲出されている三権分立の図がおかしい。」
ひと月あまり前、検察庁法改正案の話題に関連して、ネットで騒ぎになっていた。
なるほど見てみると、内閣と国民の間の矢印の向きが、教科書などで見かけるそれとは逆になっている。
『代議制民主主義 「民意」と「政治家」を問い直す』 待鳥聡史 中公新書
質実剛健で毎度おなじみ、中公新書である。著者は学生時代のサークルの2回上の先輩で、当時たいへんお世話になった待鳥さんである。京大の、または京大出身の政治学の先生はよく中公新書で著作を発表されているイメージがある(注1)。
それはともかく、本書ではイギリスの議院内閣制、アメリカの大統領制、そして日本の議院内閣制の歴史を整理することで、現在の立法府のあり方と課題を明らかにしてゆく。学生時代に抱いていたものの卒業後ずっと忘れていたことだが、自由主義と民主主義の緊張関係、つまりは相容れない部分についての問題意識を思い出す、よいきっかけとなった。
さて授業の時間だ。
かかる問題意識のためだろうか、社会科で中3に公民を教える私はなんだか歯切れが悪い。学生時代ぶりなので忘れている、ということだけではあるまい。
テキストは「1民主政治のしくみ」として、民主政治の考え方(リンカーンのゲティスバーグ演説→議会制民主主義→多数決)、三権分立、立憲主義と法の支配、というふうに順に説明している。このあとで「2選挙のしくみ」「3政党と世論」「4国会のしくみ」「5内閣のしくみ」…と続くのだ(注2)。
この順番で学ぶとして、「三権分立」をあっさり触れたところで、あとにつながるかどうか。でもじっくりやるとするなら「1民主政治のしくみ」で3,4時間はほしい(高校の「政治・経済」くらいの深い内容になってしまう)けど、それは無理な相談だよなあ。
そもそも三権分立の説明は、大統領制の説明にはなじむが、議院内閣制の説明にはなじみにくい。少々説明が苦しいのだ。「均衡と抑制」と言いながら、バランスを欠いているように思われるからだ。
ぶっちゃけ「国民→国会⇔内閣(内閣は国会に対して連帯して責任を負う)」と、直列に理解しておけばよくね?
ともあれ「三権分立」をどう教えておくのがよいか、少々取り扱いに困っているのである。
注1:そういや学生時代のゼミの指導教官も中公新書から著作を出されていた。教科書に指定されていたのだが、専門書の事を考えるとずいぶん安上がりで有り難かったなあ。
注2:栗東市、草津市で使われている教科書(東京書籍)は、選挙制度→国会→内閣→裁判所とやったあと、章を改めて「三権の抑制と均衡」(教科書p100〜101)としている。モンテスキューのアイデアとして権力の抑制と均衡について触れたら、すぐに選挙制度に入ることにして、教科書に合わしておこうかな。
日文は大体テキストと同じ順だが三権分立が初出になるp76において、「法の支配」の記述が薄すぎる(立憲主義は統治機構の所ではなく人権より前(p38あたり)にやっているからよいということだろうが)。授業でちゃんと戻って触れてあげればよいのだが、公民の授業の現場の余裕のなさを知っているだけに、これでいいのかなと思ってしまう。
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