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TOP  >  TOPブログ  >  dai  >  つれづれ  >  トップの本棚―daiの極私的国語攻略講座その1

dai さんの日記

 
2019
10月 2
(水)
16:01
トップの本棚―daiの極私的国語攻略講座その1
本文
(その2があるのか分からないけど…)

「国語はどうやって勉強すればいいですか」
成績上位の子が、国語の先生にそんな相談をしていたのを横で聞いた。
私は中学時代、模試の国語は作文をぶっちして80点(つまり作文以外はほぼ満点)、学校の国語のテストはからっきし(今の5段階のつけ方ならおそらく2に近い3)だったから、n=1の体験談を話しても何の参考にもならないかもしれない。つまり年に200冊は本を読む活字強者だった。いや、単に活字中毒であった。今の時代に生まれていたらネットニュースとツイッターとブログで寝る暇もなく廃人同然になっていたに違いない。

『実戦現代文講義の実況中継』  兵頭宗俊  語学春秋社      

「国語で点数がとれるようになるには」
その答えは実行可能性を無視すれば極めて簡単である。

要するに本文をちゃんと読めればそれでいいのである。読解問題のほとんどは本文をちゃんと読めば答えが書いてある。ちゃんと読めていないから問題の答えがわからないのである。
国語の成績が乱高下する人は、この「ちゃんと読む」が体感としてわかっていない。書いてある日本語の筋道を追いかけてそのまま読む、筋がおかしなところがあればそれに引っかかりを持つ、というリテラシーが身についていないのである。

私は自覚のないまま大学入試もかいくぐってしまったから、その辺りの方法論を意識して教えるには難がある。入試解説や模試解説ならお任せあれだが、レギュラーシーズンの中3生の授業は荷が重いのだ(チラッ)(注1)。

その意味で、この手の参考書は便利である。残念ながら書店で手に入るのは本書も含めほぼ大学入試用で、高校入試用はほとんど良いものがない(あえて言えば福島先生の『国語読解22の鉄則』ぐらいか)。読解問題は、出題者がどういう意図で問題を作るのか、それを踏まえてどう読み、どう解答していけばよいのか、言語化してくれている。

とりわけ後ろの「語法33発」「文末の語法15発」などの付録は有用である。読解をする際にこれらのことを意識するのと意識しないのとでは、文の見え方が全く違ってくる。

本書に書いてあることと、私が普段言うことに多少の相違があるのでその点だけ指摘しておこう。
たとえば、「語法33発」にある、「つまり(すなわち)」の説明はちょっと足りないのではないだろうか。「つまり」は抽象化の機能を持ちがちだ。逆に具体化するときは「たとえば」である(「たとえば」なんて書いてあったらだれでもわかるので、本書で指摘しているようにいきなり具体が入るところが問題としてよく狙われがちである)。
「文末15発」に解説していないものに「のである」の統括機能がある。シンプルかつ強力に使える技である。主張を効果的に読者に印象付けるので、見かけたらチェックしておくとよいだろう。


さて授業の時間だ。


9月実力テスト、2年の国語がひどい。全国平均が40点台で、栗東校のそれも恥ずかしながら50点にすぎなかった。このうち3番の「活用の種類と活用形」は明らかに練習不足。出来の悪さが目立った。一方、5番の論説文は猪熊葉子「大人に贈る子供の文学」からの引用で、論を追うことに慣れていない中学2年生には難解すぎやしないか。
具体的な設問の解説は誰でも読めるブログ上ではしない(一応、どこかの塾でこれからこのテストを実施するところがあるかもしれないので)が、課題文の構造だけ確認しておこう。
主張:「世間一般のイメージ(一般論)」→「実はそうではない(筆者の主張)」
論証:「ピーターラビット」の世界観・「シャーロットのおくりもの」の死生観
結論:「優れた作品の書き手たちは(中略)冷たい現実をしっかり見つめている、その上でめでたく終わる物語を作り出しているのです。」
典型的な「論説文」であり(公立高校の出題例は「説明文」にとどまることも多い)、設問次第では、今回取り上げた「実況中継」の第1講(青山学院大で出題された『子ども観の近代』)と、そうレベルは変わらないと思う。
まあ、5番の出来不出来はあまり気にしなくていいよ、ということだ。むしろ同じ問題を3年生にやらせたい。

注1:「中3国語を私にまわさないで〜、でも5Z6Z国語なら大歓迎」という、なかしゃん先生とはたぶん真逆の心の叫びである。数学、理科ならもっと嬉しいのは言うまでもない。もくもく会(全国入試問題集を黙々と解こう会)も数学、理科しか参加していない。国語は気分転換に眺めているだけである。
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