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dai さんの日記

 
2018
10月 4
(木)
23:15
普通とは(#とわ)
本文
『コンビニ人間』 村田沙耶香 文春文庫

*本日現在貸出し中です。テスト明けの中3生です。


僕がフルクラさん(仮名)と出会ったのは、僕が20歳、彼女が23歳の時だ。僕は大学2回生で、彼女は看護師2年目だった。僕のバイト先の先輩がセッティングしてくれた合コンで隣の席になり意気投合したわけだが、場所が普通じゃなかった。

普通合コンと言えば、男女4対4くらいで個室のある居酒屋や、レストランバーなどでするものだと思っていた。しかしそこは百万遍(注1)から軽く1キロは北の、とある銭湯の2階にある焼肉屋だったのだ。そこに男女15名ずつぐらいが招集され、めいめい卓袱台の上のコンロを囲んで肉をつつくと。

なにこれ合コンちゃうやん。だいいち先輩(注2)大阪の大学やん。なんでや京大関係ないやろ。よりによってなんでこんな辺鄙なところに集合なん?しかも初対面の男女が集団で焼肉て。それでいてこの人数が集まるってすごいな、さすが先輩、普通じゃないわ。

僕は京都の極東、フルクラさんは京都の極西と遠距離(注3)だったのでデートは間をとって四条河原町あたりになることが多かった。お洒落なバーやカフェなどを背伸びして発掘したものだ。このあたりは普通すぎて、特段語ることは何もない。


ちなみに物語の主人公、古倉恵子さんとは何の関係もない。フルクラさんが妹にそそのかされて(「お姉ちゃんはもっとそういう場に出て行った方がいいよ」的な)合コンに参加した、と聞かされたのを思い出したにすぎない。


本書の一場面、古倉さんの幼少時代のエピソード(公園で死んでいた小鳥を持って帰って焼き鳥にして食べよう、と言ったシーン)を5Zで読み聞かせたら、あまりの普通じゃ無さに一同ドン引きしていた。ここにいるのは、将来膳所高ぐらいは行けそうに若干賢いけれども、常識と年齢相応の倫理観を弁えた普通の子供たちだ。そんな子供たちだからあえて問題提起してみた。
普通ってなんだ?


だいたい普通人にとって芥川賞なんて高尚すぎてつまらない、というのが相場である。そんな中にあって、本書は、芥川賞受賞作品の中でも一二を争う面白い小説であると思う。
ただし、小学生には少し早い。(『火花』で夏休みの読書感想文を書こうとした小6の子に、別の子供らしい本を勧めた話って、しましたっけ?)


注1:今出川通りと東山通りの交差点の通称。南東角に京都大学本部がある。先日、「本庶佑(ほんじょたすく)教授ノーベル賞おめでとう」の立看板がここの石垣に置かれたが、半日もたたないうちに当局によって撤去されていたとか。ご時世である。

注2:なんかのイベントサークル(関大中心のインカレサークル)の幹事をやっていたとか。今振り返ってみても、謎すぎる。

注3:京都市バス3系統
松尾橋(四条通の果て、松尾大社の近く)←(四条通・河原町通経由)→北白川仕伏町(山中峠の京都側の入り口)で一本だ。1時間半かかるけど。
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