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dai さんの日記

 
2023
4月 8
(土)
02:09
トップの本棚―高校生本棚案内その2
本文



学生時代私淑していた生物学者の畑正憲先生が逝去された。享年87歳。ご冥福をお祈りします。

とはいえ、テレビの追悼番組ではだいたい大型犬やクマとニコニコしながらわしゃわしゃしているムツゴロウさんの話しか出てこない(世間的にはそりゃそうか)。

私にとって畑先生は、阿佐田哲也氏(『麻雀放浪記』)や当時の若手プロらと緑色のマットを囲んで死闘を繰り広げていたイメージ。『畑正憲の精密麻雀』(1979)は名著である。

本書を座右に置き日々鍛錬していたが、当時所属していたサークルの後輩に借りパクされ、それっきりである。今から四半世紀ほど前の話である。



『「読まなくてもいい本」の読書案内 知の最前線を5日間で探検する』 橘 玲  ちくま文庫 


平成末現在、日本で1年間に出版される書籍は8万点を超えるという。こうなると、学生時代に読んでおくべき本のチョイスも大変だし、人によって言うことが変わるのもやむなしだと思う。

かくいう我が身を振り返ってみても、ハリーポッターも江戸川乱歩も読んだことがない。ましてや毎年星の数ほど出てくる自己啓発本など(その大半は〇ミ、という認識である)手に取ろうとも思わない。

筆者によると、20世紀後半に人類は知のパラダイム転換を経験していて、古いパラダイムに従って書かれた本を読むのは費用対効果が割に合わない、と主張する。そりゃそうだ。人生において時間は有限なのだから。

そこで、読むべき本の道しるべとなる分野を紹介し、興味関心が深まればその分野から古典にさかのぼればよい、という考えで次の5つの分野における書籍の紹介をしている。


1 複雑系
2 進化論
3 ゲーム理論
4 脳科学
5 功利主義


高校生向けの特別授業で、何冊かの本とともに本書を紹介した。1時間程度で終わらせて時間の後半は問題演習(1回生向けには「主張をとらえる」、2回生向けには「経済成長という病」平川克美)をしようと思っていたが、2時間でも終わらなかった(そりゃ、そうだ)。


複雑系からは、物理エンジンのシミュレーション動画を。たくさんの同じ長さの4重振り子を千分の1度ずつ角度を異ならせて同時に振動させると、最初のうちは同じように振れていたのがやがてカオスになってしまう。

逆に、自然界に見られる複雑でそれ自体何らの法則性が見られない現象でも、実は自己相似性が見られるなど何らかの法則によって成り立っている(フラクタル)。


進化論はワトソンとクリックらによるDNAの二重らせん構造の発見の話から。おすすめは福岡伸一先生の『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書、膳所高の新1年生の推奨図書にもあったね)。

そこから進化論が心理学の分野にも入ってくる。

ヒトのからだが進化によってつくられたのと同じように、わたしたちのこころや感情も進化によって生まれた。

そういう過激な主張が生まれてくる。


ゲーム理論。「囚人のジレンマ」とかキューバ危機の話とか。『高校生からのゲーム理論』(松井彰彦)も本棚にあるよ、という話も。(いずれ本稿で扱うことにしよう)

脳科学では、フッサールの現象学がその第一歩から間違っているという話や、功利主義において現代のリベラリズムについての議論が錯綜している話などもしたかったが、まだ前提知識が共有できていないものね。


この調子で、各テーマについてちゃんと問いを立てて文献に当たる、というようなことをやっていたらそれぞれ1回の授業をしても終わらないや。まあ、膳所高生の「探求」におけるテーマ探しのヒントにでもなればいいかな。


では、授業の時間だ(え、さっきのは授業じゃなかったの?)紙幅の都合で手短に。


今週の6Z理科、2Z理科、高校特別授業理科(化学のコーナー)。年齢に応じて言い方は変えているものの、基本的に同じ話をした(テキストの順番に従っただけであって、決して準備に手を抜いたのではない)。


すなわち、元素の周期表を眺めてもらい、

原子一粒の半径と(ついでに原子核の半径にも触れ)、

水素原子一粒の質量(そして炭素原子一粒はその約12倍だとかいう話も交え)に触れ、

モル(アボガドロ数=6.02×10の23乗=約6020垓、有効数字上から3桁)の話、

お猪口に3分の2ほどの水(18グラム)が入っているとしてこの中に水分子が

約602000000000000000000000個あるんだよ~、とか

常温1気圧の下では「大津市の可燃ごみの袋にはほぼ気体2モルが入るんだよ~」とかいう話もして、

元素とか原子とか分子とかのイメージを持ってもらった。


肝心なポイントは、比を用いて化学変化の色々な量を計算できるという点にある。


それでは今日は、このへんで。





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