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dai さんの日記

[2022-6] 
 
2022
6月 14
(火)
00:00
トップの本棚―文法を哲学してみる
本文



国語文法、何が難しいかって、品詞の概念を仕込んでいないのにやれ「文節」だの「単語」だのに分けるよう要求されることである。品詞を知ったうえでならある程度「単語」に分ける判断はできるだろうし、文節だって「1文節に1自立語」という原則を押さえておけば何とかなるだろう。6月の中1実力テストでこの点が問われた問題が出ていたわけだが、1Zの皆さんは果たしてうまくこなしてくれただろうか(注1)。

つまり「文節」は「自立語」から始まり必要に応じて「付属語」が付いてくる、というたてつけになっている。「付属語」には活用のある助動詞」と活用のない「助詞」がある。

『練成口語文法』には100本ノックがあるけれど、そこまでして身につけなければいけないものか疑問なので(費用=時間対効果がよろしくない)、私の担当クラスでは「こんなんあるよ」でスルーすることにした。

一方、用言の活用について、少なくとも口語文法に関してはそれほど困難ではないように思う。

我々は日本語を母国語として無意識に使っているからである。無意識に使っているものを、言語化、体系化するところに文法の面白さがあるのだ。


『東大の佐藤先生と 英文法を哲学する(英語がまるで違って見える!)』 佐藤良明 アルク


とはいえ、学校で教えられている文法には、「?」が付く点も少なくない。「象は鼻が長い」問題は、その一つである。
当の授業では、文節には「主語になる」「述語になる」「修飾語になる」「その他」の4つの機能があるよ、とだけふんわりお話ししておいて、尺の都合もありそれ以上突っ込まなかったのであるが、直後の数学の時間にこの話題をぶっ込まれたらしい。
ならば毒皿である。彼ら彼女らの常識を揺さぶって、もう一段賢くなってもらおうと、とあるエッセイを紹介することにした。

本書に収められている
「2-5 日本語は背骨を持つ代わりに根を下ろす」
である。

カナダのフランス語圏の大学で長年日本語を教えていた言語学者の金谷先生は、英語やフランス語が「クリスマスツリー型」の構文を取るのに対し、日本語は「盆栽型」の構文を取る、とする。(『日本語に主語はいらない』2002)

家で 太郎が ピザを (補語)
   作っている。   (述語)

Taro (S)
is making (V)
pizza at home. (X)

これを引用しつつ、さらに日本語では、述語には助詞、助動詞を介していろいろな情報が付いてくる、と指摘する。

たとえば、
「言っ て い た みたい な の よ。」(単語に分けてある)

授業で教えた通りなら2文節、8単語(!)という事になろうが、これ全体で述語となる1文節ととらえてよいだろう。
「いる」は補助動詞であり、いちおう「自立語」だが、実質的には継続を表す助動詞のように用いられているからである。

動詞「言う」の連用形に、接続助詞「て」で継続を表す補助動詞「いる」の連用形、「官僚の助動詞「た」とつなぐ。ここまでで動詞と時制を表現。
さらに「みたい」で断定の助動詞「だ」の連体形「な」を弱め、「の」でまとめて場のフォーマルさや相手との関係の認識を表す終助詞「よ」で結ぶ(この場合は女性のタメ語)。

すごくない?


ほかにも、≪「いる」と「ある」がbeとhaveに対応する≫
(第5章 英語に時制は2つだけ、3つの時相をマスターしよう)

終始こんな調子である。

本書を読んでいると目からいっぱい鱗が落ちてきて、知的になかなか楽しい時間を過ごすことが出来た。


ここで得られた知見は、高校生の英語の指導にも生かしていこう。法助動詞とか、時制とか、態とか、すっきりとした見取り図が見せられたらいいな。
(日本語に主語なんかないを地で行くスタイル)

では今日はこの辺で。


お知らせ:
本書を含めGH校に置いている私の蔵書のうち、一部新書(難しめのもの)、単行本(数学ガールを含む)は高校生向け参考書の棚に移しました。閲覧は、自習室内限りでご自由に。持ち出しを希望する場合は、(直近の授業で用いることが無いなどの事情がない限り)原則許可しますので、直接daiまで申し出てください。





注1:見たところ15点満点中9点~15点取れている模様。3分の1以上が満点だったから、まあ及第点か。
なおSでは満点の子は一人もいなかった(実質満点が一人いたようだが、その子は問題をちゃんと読め案件。)←クラスの小テストなら私は注意だけして満点をあげる(実質理解していると評価できる)けれど、全国規模で偏差値も出すオフィシャルなテストでありこう書いたら×にせよと採点基準にある以上、0点と判定せざるを得ないのだ。
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