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滋賀県教育委員会から、令和年度高校入試について結果のまとめが発表された。
今年は例年に比べ発表が遅かったが、きっと新試験の準備で忙しいのだろう(テキトー)。


試験当日に数学を解いた感触について述べたが、年々肌感が弱くなっている。去年は易化したと言ったら平均点が下がっていたし、今年は去年並みで40点程度と予想していたところ、5点くらい平均点が上がっているではないか！
つまりR6とR7だったら同じくらい難しい、なんならR6の方が簡単、というのが当日解いた感触だったのだが…


大問1の平均点を23点と見積もったところ、26点近くあったようである。
たとえば、(1)で正答率が90％を大きく上回っているあたり、受験生全体の学力はコロナ禍中に比べて多少回復傾向にあるのかな、知らんけど。

大問1の他の問題も、当日の感触より4，5ポイント上回る結果が出ている。
特に(8)の確率の問題は、50％を大きく下回ると予測したところ、ほぼ50パーセントの正答率であった。

(７)の円錐の側面積は予想通り半分を大きく下回った。誤って表面積を出し24πと書いた受験生はどれくらいいるのだろう。


大問2～4の各(1)についても、当日の感触よりよくできていたようだ。想定より5～10ポイント上回っている。

また、当日難問認定した２（3）②、３（３）②、４（３）も、正答率1パーセントは下回っておらず、最上位層はそれなりに鍛えられてるのね、という感想を持った。

この3つで配点は19点。だから80点以上取るにはこの3つを除く全問を正解するか、この３つのどれか1つ以上を正解する必要がある。80点以上はおおむね3％強。クラスに一人程度いる計算である。


平均点は45.4、標準偏差は21.8。

このセットでも1パーセント程度（全県で７0人くらい）の生徒が0点であり、20点未満で全体の13％ほど。相変わらず下位層の学力崩壊は顕著である。

一方50点台と60点台がそれぞれ15パーセント強と最頻値になっている。一定の学力をつけられたとみられる層がちゃんとボリュームゾーンを形成していて、その点は良かった。
（なお、これが英語だと10点台が最頻値になっており、相当な人数の中学生が英語はからっきし、という状態になっている。この傾向は滋賀県のみならず全国各地で観測されており、相当由々しき事態であると言える。）


それでは授業の時間だ。


今年度はずいぶん久しぶりに学年の最初から1学年数学を担当している。上記のように相場観が鈍っているのが若干心配だが、まあ、上のセットならクラスの3分の2が70点以上、3分の1は80点以上とれる程度の学力を育てたい。

そのために色々な伏線を張っているが、さすがに誰でも見られるこういう場で具体的な手の内は示すまい。

中1で「文章を文字式で表す」というのをやり始めているが、アンケートを取ってみると小学校でいわゆる「はじき」（速さ、時間、距離）を教わった生徒が半数以上いることが判明。代ゼミの化学の亀田先生を召喚しそうになった(注1)が、すんでのところで思いとどまった。

方程式を学ぶ前に、問題の設定、状況を簡単な図にして表すこと、その図に応じた式を書くことを徹底したい。また、物理量を表す単位（長さ、質量、時間など）に気を配るよう促したい。


それでは今日は、このへんで。







注1：亀田「みなさん、まさかこのような速さの求め方を、どこかで習ってきたりはしてませんよね。
この、世界最悪の速さの計算の仕方、通称「はじき」。何だって？〇に「は」「じ」「き」と書いてですね、速さを求めたかったら、「は」をかくして距離÷時間、時間を求めたかったら、「じ」をかくして距離÷速さ、何じゃこりゃ～(錯乱）、こんなのさいあくだ～あ～たたたたたたっ(黒板にチョークを投げつける)、（真顔になって）フフッ。」


何が最悪かって、速さの意味が分かっていなくても定型的なものであれば答えが出てしまうことである。結局よくわかっていないから、少し応用、例えば単位を混在させたりするレベルのものでも、とたんにできなくなることである。
もっと最悪なのが、これが成功体験となって、なんとなく解けてしまう、で高校入試を乗り切ってしまうことである。なまじ頭が良いと、偏差値６０くらい（Ｖもし基準）の高校にふつうに行けてしまう。そして高校に入って化学基礎でモルがわからなかったり、物理基礎で運動方程式が立てられなくて（多くの場合その前に運動の3公式を意味が分からないまま全部暗記しようとして詰む）理科を諦めてしまうのである。文系が悪いわけではないが（私も出身学部は文系だし）、仕方なく私立文系（しか選択肢がない）、それも関関同立は言うまでもなく産近龍仏あたりにも学力的に届かない、という末路を辿るのである。