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dai さんの日記
2024
8月
31
(土)
12:12
本文
【悲報】夏休みの課題図書、今日(8月30日)現在、1冊も読了できていない
文庫本と一泊分の着替えだけリュックに詰め込んで電車に乗って旅をする。そんな夏休みを過ごしたい人生だった。
クルマだと自分で運転せざるを得ないので、本を読んだり居眠りしたりビールを飲んだりすることは許されない。だから、「電車」なのである。
いや、コロナ禍においてもなんやかやで毎年1回程度はそんなお出掛けをするようにはしていた。まあ、混雑するとわかっている路線や時間帯を避ける形で予定を組むようにはしていたのだが
そういや去年秋の「ひだ25号」だけは誤算だった。指定席が満席の時点で察するべきだった。インバウンド需要が復活してきていたし、飛騨高山が外国人に人気の観光地であることは知っていたはずなのに。
たぶん5年ぶりくらい、つまりコロナ禍ぶりに、早朝の「野洲発姫路行新快速」に乗った。終点の姫路までは2時間ほど、文庫本を1冊読み通すのにちょうどよい乗車時間である。
わくわくしすぎて夜眠れなかったせいか、電車のゆれがゆりかごのように心地よかったせいなのか、すぐにうとうとしてしまった。気づけば車窓には海が広がっていた。すぐに見覚えのある風景(注1)、眼下に朝霧駅が見え、明石海峡大橋すら見逃してしまったことを悟る。
姫路で2時間弱の途中下車。アーモンドトーストが食べられる駅近くの喫茶店は朝8時半に開く。
午前中1本だけある津山につながる姫新線に乗り換え、3本の列車を乗り継いで津山へ。そういやこの区間に乗るのは高校1年の時に鳥取へ一人旅して以来ではないか。
佐用から先は単行気動車。お盆だけにお出かけの人たちで混雑しているし、この暑さではキハ120の冷房能力はあまりに心許ない。
津山に着いてすぐに気づいたこと。それはB‘zの稲葉さんが里帰りしているということだ。地元のホールで単独ライブをやっているらしい。そのときは気にしていなかったが、全国各地の178ナンバーの車が津山に集結していたとかいないとか。
岡山行きの快速は約2時間後。ちょうどお昼時だしホルモンうどんでも食べよう。実はそれが目的でわざわざ遠回りしたと言っても過言ではない。
鉄板焼き屋のお姉さんの情報によると、津山城跡の近くにある地元のホールは1000人も入ればいっぱいだという。チケット取れなかったファンのひとたちがさぞや大量に城に集結していることだろう。
あ、そうそう。「読書」の話をするんだった。お察しの通り草津を出発してからここまで、1行たりとも読めていない。
閑話休題、授業の時間である。
栗東校中3の夏期講習国語で使っている教材に、次のような論説文がある。
「読書とはこうしなければならない、というものではなく、何をどのように読んでもいいものと思う。だいたい古今東西、今日までどれだけの本が書かれてきたか分からない中で、(中略)偶然その本にめぐりあったという要素が少なからず含まれている。読書は偶然から始まるのである。」(注2)
偶然が人格形成に影響を与える。本文の言葉を借りれば、「感情やら言語の好みや思考法を形作る出発点」となるのである。
他人のおすすめを頼りに、ネットで本を調達するのも悪くはない。訪問先の飲食店や投宿先に置かれていた本(漫画も含む)を手に取ったらおもしろかったという偶然もあろう。けれども、かかる偶然を積極的に求めるのであれば、図書館や書店に足を運びあてもなく本棚を眺めるとよい。
コスパ、タイパのみを求める人生は楽しくない。回り道をして気づくことや人生を豊かにする側面もあろうというものだ。
ところで、夏休みの最終日に読書感想文など重たい宿題を残してあたふたする子供の気分を追体験することとしよう。現代人にとって読書はなかなかにマッチョな趣味なのだ。夏期講習が始まる前に購入し、積読になっていた次の3冊をこの週末で読了し、何らかの感想をどこかに残しておく(公表するとは言ってない)こと。
『夢十夜』 夏目漱石 新潮文庫
『あの夏が飽和する』 カンザキイオリ 河出文庫
『僕の神さま』 芦沢央 角川文庫
注1:JR山陽本線朝霧駅は大蔵海岸への最寄り駅。ここにはお気に入りの温泉のひとつがある。有馬温泉のような鉄分たっぷりの金泉の浴槽があり、男性浴場の整いスペースからは正面に明石海峡大橋が見える。
注2:高橋英夫 「読書は偶然から始まる」より。どこに収録されているのかは見つけられなかった。河出書房の『テオリア8 読書随想』あたりにあるのだろうか。
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