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dai さんの日記
2021
9月
25
(土)
21:29
本文
換気のために1階の勝手口を全開にしている。すると、生徒が鉛筆を走らせる音の合間に虫の声が聞こえていた(注1)。授業開始15分後のこの静寂は気持ちがいい。すっかり秋だねえ。
なお、普通に通りを走る車の音は気にならない。時たま通りかかる珍走さんの爆音はさすがに耳障りである。
『大人は泣かないと思っていた』 寺地はるな 集英社文庫
「男らしく」、「女らしく」、「大人らしく」。そういう息苦しさから解放されたいと思いながらも「しがらみ」「世間体」でがんじがらめになりながら精一杯生きる人たちの家族をめぐる物語。連作短編7篇。
首都圏の私立中学入試国語で今年一番出題された『水を縫う』と一貫したテーマ、家族の「あるべき姿」に傷つく人々を寄り添うように描かれた物語である。
最近の入試国語、とりわけ小説で好んで扱われるテーマの一つである「他者への想像力」を問うのにちょうど良い素材なのかな、と思ったり(私は国語の先生ではないが)(なお、滋賀県立はたぶん今年も小説は出さない)。
誤解している人がいるかもしれないので念のために申し添えておくと、物語文で「筆者の言いたいこと」は問われない。読者には物語を解釈する自由があるからであり、出題者が勝手に正解を決めることはできないからである。
出題できるのは「筆者の気持ち」ではなくて、テキストから断定できる範囲での「登場人物の気持ち」である。
物語が平坦なので、ドラマチックな何かを期待している人にはちょっと退屈かもしれない。とにかく時田君と小柳さんが幸せになってくれたらいいな、というのが個人の感想である。
刺さったところをいくつか引用しておこう。
〈俺にとって田舎に住んでいるということは、多少の不便を伴うが、恥ではない。そして「不便」とは、買い物をする場所がイオンしかないとか交通の便が悪いとかそういうことではなくて、他人のわけのわからないプライドの保持のために利用される、ということだ〉
「大人は泣かないと思っていた」より
〈昔のことに罪悪感を抱えるんじゃなくて、そうまでして選び取ったものを大切にして生きてくれる方がいい、そのほうがずっといい〉「あの子は花を摘まない」より
さて、授業の時間だ。
中学校の歴史の教科書p287の5行目から15行目、情報量が多すぎて中学生は消化できなさそう。私ならここだけで3時間ぐらいしゃべってしまいそう(しゃべらないけど)。
2001年9.11を受けての対テロ戦争を掲げてのアフガニスタン攻撃(時事問題としても8月の「アフガニスタンからアメリカ軍撤退」が狙われそう)と、2003年イラク戦争が並べて書かれていたりして、教科書本文を読んだだけではどうつながっているかさっぱりわからない。
定期テスト対策のとき複数の生徒からこの部分について質問があり、勉強にたいするまっとうな姿勢(つなげて、おぼえる)が身についてきたなと頼もしく思ったところ。
初めて出てきた事項と既習事項が頭の中でつなげられることで、勉強のレベルは飛躍的に上がる。1問1答を暗記する(それはそれで必要なこと)にとどまるレベルと比べて、大きな壁を一つ越えられている。
3年2学期の中間テストに公民が入らないところもある。そうなると中学校における公民の勉強が1問1答的な知識の仕入れだけで終わってしまいそうで、本来なら一番頭使うとこやのに、つらいところやなあ。
注1:実は虫の声がよく聞こえていたのは先週くらいまでで、お彼岸を境にぱったり聞こえなくなっていた。
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