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dai さんの日記
やばい、夏休みの声が聞こえた途端、夏が本気を出してきやがった。
日中うっかり外になんか出たら、融けてしまう。
『図書室の海』 恩田 陸 新潮文庫
意味が分かると怖い話、短編10話。夏にぴったり(注1)。
初期の恩田作品の予告編という性格を持つアンソロジー(奥付は平成17年7月)である。
「ピクニックの準備」では三人の登場人物―幸田貴子(たかこ)、西脇融(とおる)、そして「わたし」(一人称)に、同じセリフを語らせる。
「みんなで、夜、歩く。それだけのことが、なぜこんなに特別なんだろう…」
3年生で同じクラスになった貴子と融はお互いのことを強く意識しているが、学校で言葉を交わすことはない。二人にはある秘密があり、事情を知らない他人は「二人はこっそり付き合っているのでは」なんて勘繰る。で、「わたし」はそんな二人の秘密を知っている。
『夜のピクニック』を読んだことのある人にとっては、このあたりのアヤは了解済み。でも「わたし」って誰だろう。
読んだことのない人にとっては、映画の予告編のような全13ページ(たったの)である。
タイトル作「図書室の海」は『六番目の小夜子』の番外編。ある古い公立進学校で連綿と続くある「行事」についての物語。「六番目の小夜子」の登場人物、関根秋(しゅう)の姉、夏(なつ)が後輩に「行事」を引き継ぐシーンである。
「六番目の小夜子」には海に出かける印象的なシーンがあって、この「海」とあの「海」は何か関係があるのかな。しらんけど。
さて、読書感想文の時間だ。
中学時代私は、読書感想文、とりわけ小説の感想文を書くことがとても苦手で、大嫌いだった。夏の課題これだけは最後まで片付かなかったものだ。
まあ、先生も誰も、まともに「感想文の書き方」なんて教えてくれなかったし、しゃあないか、と思っていた。
「あらすじばっかり書いてはいけません」なんて、何の薬にもならないアドバイスをもらったってねえ。
今では、どうやって書けばよいのか、正解かどうかはわからないけれど知っているし、周りの中学生にも次のようにアドバイスする。
「本の一節、または一部分をきっかけにした生活作文を書きなさい。」
生活作文とは、雑に定義すると、「遠足の思い出」的な作文のことである。
読書感想文の王道的な書き方は、読む前と読んだ後でどう印象が変わったか、感情の変化をつづる(これはなかなか難しい。感情表現には高い語彙力が必要だからだ)。そして自分だったら、と考えてみる。
それがしんどいのだったら、本のある一節に関連付けて、自分の体験とその感想を語ってしまえば済むのだ(これこそまさしく「生活作文」)。
先の「六番目の小夜子」で言えば、高校生たちが海に出かけるシーンがあってそれが印象に残ったと言って、自分の海にまつわる思い出を語ればよいのである。
読む本は小説じゃなくてもよいと思う。たとえば、「ビワコオオナマズ」の生態について書かれた本を読み、興味を持ったので琵琶湖博物館に行って色々調べてきた、ということにすればいいのだ。でも間違って、わいのように「ビナちゃん」(注2)が大暴れする条件についてのレポートとか書かないように(書いてません)。
本選びのお供に、本屋さんにおいてある作品案内はいかがだろうか。
「新潮文庫の100冊2021(この感情は何だろう。)」
「カドフェス2021発見!角川文庫(世界を照らそう。)」
「ナツイチ2021集英社文庫(きみとぼくを、つなぐ1冊。)」
など、など。
パラパラっとめくってみたが、わい氏、半分ぐらいは読んだことある。
ついでにその半分くらい(は言い過ぎ、ジャンルが偏っているから)は、塾の本棚に置いている。
☆ 結局、安定の1600字越え、執筆約60分(本を読む時間は除く)
注1:『夜のピクニック』は、全然ホラーではないけれど。
注2:ボートレースびわこのマスコットキャラクター。ときどきコース内で大暴れし波乱を巻き起こす。ミシガンが作った引き波が原因だという説もあるが、たぶん違うと思う。
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